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拓弥side
拓「はぁ…………はぁ…………はぁ…………」
右足を地面につける度に、しびれるような痛みがある。
しかし、俺は足を動かし続けた。
住宅街に入ると、家の前で手を振っている人達の姿が見えた。
「頑張ってー!あと少しでゴールだよ!」
「頑張れー!おにーちゃん!」
にこやかに手を振る親子の姿を見て、俺の両目が大きく開いた。
視線を動かすと、泥だらけの太陽が上半身を揺らして近づいてくる姿が見える。
拓(あの太陽の姿が見えてねぇの?そんな……………)
俺は太陽の言葉を思い出す。
『もし、拓弥に届いたら……………ずっと一緒にいられるかな』
拓(俺に届いたら…………ずっと一緒に…………)
声にならない悲鳴をあげて、俺は手足を必死に動かす。
拓「お………………お前なんかと一緒に居たくない!俺は……………トップになる人間なんだ!」
そう叫びながら、俺はスピードをあげる。
振り返ると、少しだけ太陽との距離が離れた気がする。
俺は青白くなった唇を動かした。
拓「お前は一生、俺に追いつけないんだ!」
十字路を曲がると、高校の校門が見えた。
その向こう側に先生や生徒達の姿がある。
拓(よし!あとすこしでゴールだ。きっと、ゴールすれば、太陽はいなくなる。追いつかれなければ、大丈夫なはず…………)
呼吸が荒くなり、心臓の音が速くなっているのが分かる。
息苦しさと右足の痛みで、汗に濡れた顔が歪んだ。
それでも、俺はスピードを落とさなかった。
拓(あと五十メートル………四十メートル………二十メートル……………)
拓「あと、少し……………」
拓(残り十メートル………五、三、一………………)
校門を走り抜けると同時に、俺は地面に倒れた。
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risa(プロフ) - 優花さん» ありがとうございます!頑張ります! (2018年3月17日 13時) (レス) id: c52a3971f8 (このIDを非表示/違反報告)
優花 - 更新楽しみにしてます! (2018年3月14日 19時) (レス) id: 06d5480a49 (このIDを非表示/違反報告)
rias(プロフ) - 円藤 マメさん» そうですか!では、参考にした小説の名前を書きます。本当にすみませんでした…。ご報告ありがとうございます! (2018年3月7日 21時) (レス) id: c52a3971f8 (このIDを非表示/違反報告)
円藤 マメ(プロフ) - 話のタイトル、ましてや内容までほぼ同じにするならその"参考にした(基にした)"小説の名前も出すべきではないでしょうか…… (2018年3月7日 21時) (レス) id: 3241387696 (このIDを非表示/違反報告)
s - 祐基と佑亮の回想シーンが泣けました。 (2018年3月6日 19時) (レス) id: 06d5480a49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱちゅ | 作成日時:2018年3月5日 18時