世界でいちばん眩しい空

いち ページ3

[ 先日のプロ野球 ドラフト会議において北海道日本ハムファイターズが 日本野球機構では初めての女性選手を… ]


[ 指名された 日向Aさんは… ]


[ この件について、街の声は… ]




ピッ




どのテレビを付けても、私のことばかり放送されていて少し面倒くさいと感じてしまう。


咄嗟にリモコンを持って、テレビを消した。





｢ はぁ… ｣





誰もいない部屋に私の溜息が響く。


先日のドラフト会議で5位指名された私は、今住んでいる大阪から日ハムの寮に入る荷造りをしていた。





｢ これは、いる… これは、いらない… ｣





あまり多くは持っていけないから、必要最低限のものを段ボールにつめた。




…しかし、なんで日ハムさんは私を指名してくれたのだろうか。


もっといい選手がいたと思うのだが、どうやら監督の一目惚れのようで。

私の存在なんていつ知ったのだろうか。





｢ まぁ、いっか ｣





荷造りも終え、テレビもない。


暇を持て余している私は、散歩でもしようかとスマホを片手に銀のネックレスをして玄関に出た。



扉を開けると、大量のフラッシュとカメラのシャッター音。



こんなの、外行けないじゃん…



とりあえず、私はもう一度家の中に入った。



今は実家ではなくてアパートの一室を借りている。

もうすぐここを出るから何も思わないけど、実家だったら確実に怒ってたな。


プライバシーはどこへいったんだか。





｢ そんなに騒いでほしくないのに ｣





私の願いはきっと、誰にも届かない。


｢ 本当に迷惑 ｣ その言葉を胸の奥に無理矢理閉じ込めた。

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