世界でいちばん眩しい空

じゅう ページ12

｢ なぁ、翔平 ｣

｢ なんですか？ ｣





全体練習が終わり、個人練習に向かおうとしていた翔平に声をかける。




でも、やっぱり翔平を前にすると、なんで日向に絡みに行くのか？なんて聞かれへん。





｢ 遥輝さん？ ｣

｢ …俺も一緒にええか？ ｣

｢ いいですよ ｣





どうすればいいか分からへんから、とりあえず練習がてら2人を見学してみることにした。





｢ Aちゃーん ｣

｢ お疲れ様です ｣

｢ お疲れ様 ｣

｢ あ、西川さん。お疲れ様です ｣





規則正しく頭を下げる日向。


いつもはユニフォームを着ているけど、今はジャージやからちょっとだけ新鮮かもしれん。





｢ あ、シャドーピッチングするんやろ？
俺、ここで練習してるから気にせんでええよ ｣

｢ はい ｣





俺と翔平、そして日向の3人はアップを始めた。


しばらくしてアップが終盤にかかったところで、翔平が日向を呼ぶ。





｢ Aちゃん、もうそろそろいいかな ｣

｢ はい。十分ですね ｣





日向は翔平にタオルを渡すと、スマホを構えた。



翔平が1つ行動を取るたびに、カシャ っとシャッター音が鳴る。


それが何回か続いた後、さっき撮った写真を2人で確認する。





｢ やっぱり、後半になると肘が下がってます ｣

｢ ほんとだ。気をつけないと ｣





その後も、日向は翔平と専門的なことをいっぱい話している。


最初の方は俺も分かっていたけど、途中から わけが分からへんくなってきた。





｢ じゃあ、もう1回しましょう ｣

｢ うん ｣





もう、ほんまに分からへん。




日向はなんであんなにピッチャーのことを知ってるのか。

それに、日向のアドバイス付きで翔平が練習をしているのか。





一体、日向Aはどんな人物なんやろうか。





俺の中で、日向が少し気になる存在になった瞬間だった。

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