▼６-��.そうして始まる狂気の沙汰 side:貴女 ページ8
「コハク様、お迎えにあがりました！」
「え、あ、はい！」
もうそんな時間か。
きっくんが去ってしばらく部屋で本を読んでいた。かれこれ二時間くらい経っただろうか。部屋の扉が叩かれて、扉の外から海兵の声が聞こえてきた。
マントをばさっと羽織う。鏡をみて姿を確認して、今一度襟を正す。腰には愛刀。うん、大丈夫。
がちゃり、と扉を開けて外に出た。
「あ、モモンガ中将」
「遅い」
私の姿を見て左右にはけた数人の海兵のむこうに、いつものモヒカン頭を発見した。
「行くぞ」
「了解〜！」
ちょっとふざけて言ってみればギロりと睨まれた。やだなあもう、そんな顔しなくてもいいのに。
正義のコートをばさりと翻して先を行くモモンガの後ろを追う。円卓会議ともなればピリピリした緊張感が漂うようで、海軍本部内はしんと静かだった。
＿＿＿＿しかし、その雰囲気は会議室に近づくほど壊れていく。
緊張というより威圧。それでいて狂気。どことなく異質に交わるその空気は、昨日は感じていないものだった。
「ここだ」
下がれ、とモモンガが言えば、周りを囲んでいた海兵は廊下の壁際へと移動する。
正面を見れば、それは極端に大きな扉。中からはその異質な空気が漏れている。
「もう既に全員揃っている。最後はお前だ、八咫烏」
「……ビリって、嫌な感じですね」
思いっきし皮肉っぽく言ってやった。なんだってこんな思いしなきゃいけないんだ。かくいうモモンガはそれに返答することなく、私の後ろへと歩いていく。なるほど、彼は今回は見張りの指揮を執るのか。
まあ仕方ない、と扉に近づく。
「……！」
扉の見張りがこちらを見た。
………そうしてばちこん、と完璧なウインクをかましてくる。
(…………ばかきっくん)
なんだか腑抜けてしまった。
……まあ、おかげで腹もくくれたし。
きっくんに目で合図を送れば、彼は扉に手をかけた。
ギイ、と重そうに開く扉。
狂気に満ちた空気の中、
幾度となく紙面越しに見たような錚々たる顔ぶれ。
私に突き刺さる好奇と威圧に満ちた視線。
私を、品定めするようなそれ。
………………ああ、なんだ。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿意外と、おもしろそうじゃあないか。
「貴様が、"八咫烏"だな」
私を呼び出した張本人、海軍本部元帥センゴクが問いかける。
「如何にも。招集に応じて参着致しました。
"八咫烏"。またの名を、コハクと申す者です＿＿＿＿」
▼６-��.会議よ踊れ、そうして進め side:貴女→←▽５-��.目覚めの朝 side:貴女
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 44人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琥珀(プロフ) - Irm?いるみ?さん» 貴重なご意見ありがとうございます！参考にさせていただきますm(__)m (2019年8月25日 20時) (
レス) id: a397407caa (このIDを非表示/違反報告)
Irm?いるみ?(プロフ) - 今まで、MSSのメンバーだけで固定でやって来ているので、個人的にはこのままで最後まで見たい気がします。。。加わってくれるのもそれはそれでおもしろそうなので良いのですが。。。 (2019年8月25日 18時) (レス) id: 5832349e61 (このIDを非表示/違反報告)
きゃらめる - めっちゃ面白いです!!!!!更新頑張ってください!!!!!!!!! (2019年4月30日 2時) (レス) id: 6f50c84bd5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：琥珀 x他1人 | 作成日時：2018年3月9日 17時
