prince!! (ページ9)

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「で、この紙が何になるの？」

タピア「見てて…」

タピアは紙に手をかざし、念を送ると…

たちまち紙からパンが出てきたのである。

私は驚きのあまり、声もでなかった。

タピア「驚きましたか？」

「えぇ!?あ、凄く驚いた…」

タピア「絵の国の人々は、絵に描いた物を具現化できる力を持っているんです。凄いでしょ？」

ちょっとドヤ顔をかましてくるタピア(笑)

非現実的すぎるが、ありがたくパンを頂いた。

タピア「この世界には食べ物が少なすぎる!!」

「え？」

タピア「ジョナから聞いたんです。異世界には美味しい物があるって。」

何を言ってるんだろう。

タピア「この世界には、食べ物と言っても。パンと穀物、少しの野菜しかありません。」

「そんなに少ないの？」

タピア「元々料理の概念がないです。そのまま食べる…」

「え!?そのまま…」

この世界色々不便だなぁ…

タピア「食べてみたいんです。色んな味を体験してみたい…」

一人ぼっちで、人一倍大変な思いをしてるんだから…

幸せになってほしい。

「すればいいじゃない。」

タピア「え？」

「私が描いてあげる!!」

タピア「いいんですか!?」

と言っても、私絵下手だしなぁ…

ドーナツなら、簡単に描けるかも!!

「はい!!」

タピア「これは？」

「ドーナツっていうお菓子!!」

タピアは力を使い、具現化させる。

タピア「ん!?これは何て言ったらいいんだろうか…」

「甘い？」

タピア「甘い…。それだ!!野菜を食べたとき少し感じるものに似てます。」

それから、私は色んな物を描いてあげた。

「どれが一番美味しかった？」

タピア「甘いもの!!ドーナツが一番でした!!」

「意外(笑)」

タピア「あの…」

「何?」

タピア「また、描いてくれますか?」

「うん!!甘いものいっぱい描いてあげる!!」

タピアといると、小さい頃に戻ったような心暖かい気持ちになれる。