君じゃなきゃ ((赤)) (ページ9)

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なぜ構うの

なぜ気にするの

あなたから離れてくれたなら、わたしだって離れられるかもしれないのに

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窓の外、君が告白されているのを見かけたの

見ちゃダメだって、分かってるのに目が離せなかった。

瞬きも忘れるくらい、じっと2人を見つめてた。

声はもちろん聞こえない。

でも、表情で分かる

ほんのり赤い顔、上がる口角

潤んだ瞳に、優しい笑顔

あぁ、と

それだけ思った。

何も言えないまま、終わるんだと。

泣きたいのに、涙なんか出なくて

目を逸らしたいのに、逸らせなくて

ふらつく足取りで、二歩後ろに下がる。

呪縛から解けたように体が動くようになれば、カバンの中に教科書を引っ掴んで投げ込んで、震える足で廊下を駆けた。

はやく、早く眠ってしまおう

悪い夢だと思ってしまおう

じわ、と目頭が熱くなる

1階の踊り場の角を曲がろうとしたとき、ドンと衝撃が走った。

｢い、た…｣

『椎名さん？』

｢あ、…｣

なんで出会っちゃうんだろう

こんな時に限って、なんであなたの顔を近くで見なきゃいけないんだろう

『何で、泣きそうなん』