君じゃなきゃ ((赤)) (ページ7)

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教室に入れば、すぐに眠そうな君の姿が目に入った。

ドアから遠い席のはずなのに、すぐに見つけてしまうのは君を無意識のうちに探してしまっているからだろう。

あぁ、たまらない

その目に映る女の子が、わたしだけならいいのにね、

『あー菜々、』

そういう訳にはいかない。

すきだと自覚してしまったら、こんな些細なことでも嫌になるでしょう？

あぁ、可愛いな

菜々ちゃん、色白でふわふわした可愛い女の子

あの子が可愛く笑うだけで、わたしは自分が嫌になる

あの子だけじゃない

渋谷くんの周りにいる女の子全員に、コンプレックスを抱いちゃう

「…」

おはようって、言いたかったけど

言いかけた唇を閉じて、わたしは自分の席に静かに座って突っ伏した。

どろどろした黒い感情が嫌だった。

目を背けてあなたから離れたかったのに、耳だけはずっとあなたの声を探してる。

『ふは、なんやねんそれ』

「えー？だってそうでしょー」

いいな、いいな

わたしだって、…

ううん、無理だ

こんな逃げてるわたしじゃ

到底追いつきっこない

元から遠いひとだったのに

もっともっと、遠く感じる