金魚鉢 ((黒)) (ページ5)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:21,077 hit

fin 5 ページ5

お店のシャッターを開ければ、いつの間にか昇り切った日が眩しく照らしてくる。

日焼けが嫌で、シャッターを開けてすぐ店内に入った。

女の子だからという理由だけで接客はほぼわたしの仕事。

中々の理不尽さだ。

「いらっしゃいませ～田中のおじいちゃんこんにちは～」

「Aちゃんこんにちは。肉じゃが弁当ひとつお願い」

「はーい、横にしないように持って帰ってくださいね～」

料金をいただいてお弁当を渡す。

小さなお弁当屋だけど、こうして街の人達が沢山来てくれるからそれなりに儲かってはいる。

きっとこの先このお店が潰れることはないだろうと言えるほど。

.

.

.

真夏の陽射しが眩しくて

わたしは不意に目を伏せる。

仕事を辞めたあの日から、明るさに苦手意識を持つようになった。

だからお客さんがいないときは、こうして目を閉じたり、伏せたり。

『…あの、』

「あっはい！！」

たまに、こうやって話しかけられて焦ることもあるけどね。

「何に致しますか」

初めてのお客さんだった。

色が白くて、サラサラの髪の毛

まるで、王子様みたい