金魚鉢 ((黒)) (ページ12)

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fin 12 ページ12

こころが抜け落ちてるからさ

傷つかないんだよね。泣けもしないし

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･

澄んだ空気に淀んだ煙をくゆらせながら、満天の星空を眺めた。

横山さんが、守りたい星空はどんな色をしてるんだろう

わたしの空は、綺麗な色をしているはずなのにどこか薄汚れているよ。

丸山さんや大倉さんですら、わたしがタバコを吸うことを知らない。

普段は吸わないから当たり前なのかもしれないけど、何でも話す彼らにすらタバコのことを言いたくはなかった。

空を手で扇いでみたけど、何も掴めやしなかった。

そりゃそうか

柄にもなく馬鹿みたいなことをしたな

ピン、とタバコを指で弾いて地面に落とし、スニーカーで踏みつけた。

本気にならない

そうすれば悲しくならないから

いま、少し寂しいのは

…タバコを、吸ってしまったのは

きっと彼らを見たからだろう

兄弟のようにいつも仲のいいふたりと、更にお兄さんの役割な彼

久々にすきになったひとたちの、知らない顔

わたしはまだ、金魚鉢の中なんだ

…はやくここから、抜け出したいのに