turn 9 ページ9
『皆さんこんばんはーっ！！』
暗転直後、彼の明るい声が聞こえた。
その声に顔を上げると、ふと目が合った。
彼の目は、見ててねと訴えかけるように三日月型に歪む。
｢章大ーっ｣
女の子の、黄色い声が聞こえる。
彼が、そちらに向かって手を振る。
そこで初めて、わたしは彼の名前を知った。
『楽しいですか』
『盛り上がってますか』
『まだまだ声出せますか』
ありきたりなセリフが飛び交う中で
会場のボルテージはどんどん上がっていく。
凄いなあ
章大は、こんな世界にいるんだ
まるでわたしとは大違い
楽しい、なんて仕事に感じたことあっただろうか
ううん、無いな
･
･
･
章大のバンドが演奏を始めて
1曲、2曲とすぎる度にわたしの心は重くなる
あまりにも生きる世界が違いすぎる
わたしは、君みたいにはなれないよ
･
･
･
･
･
『辛いですか』
もう一度だけ、彼の姿を目に焼き付けて
その場を去ろうとしたとき、そんな問いかけが聞こえた。
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kanon110630(プロフ) - 私もしキラキラしていた頃を思い出しながらこの作品を読ませていただきました！すごく、心に残ったので初めてながらコメントさせて頂きました。 (2020年8月20日 1時) (
レス) id: 62a508c8ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆいな | 作成日時：2019年11月12日 16時
