【H×H】drop down【東京喰種】

No.7 オ腹ガ空イタハ地獄ノ始マリ ページ9

『…ほあー』

「(あぁ駄目だ。Aの頭がキャパオーバーしてる)
…まぁ、路地裏でて、色々見てみようよ。あと泊まる場所も探さなきゃ」

金木はAの手を引いて歩き出す
街は夜中だというのに賑わっていた。派手な服を着る女性やガラの悪そうな男達

暫く歩いているとAのお腹からぐぅ、と音が鳴る
それを聴いて金木は立ち止まった

『…ケン』

「…何日くらい食べてないの」

『…2ヶ月』

2ヶ月、それを聞いて目を見開く
喰種は1度の食事で１ヶ月は生きられると言われている
だが長い間人肉を摂取しないと周りの人間、仲間構わず肉を求めて暴走してしまう

Aは人間、喰種、自分や仲間に危害を加える者であれば殺すが、逆に無害であれば絶対に殺さない

昔、ビックマダムに飼いビトとして飼われて人間をスクラッパーとして殺していたが、それはA自ら望んでしていたわけではない。
だからいくら喰種になって人肉を食えと言われてもAには無理だった

だから肉に関してはあんていくで貰うか、喰種を殺して食うしかしていなかった

この2つが出来なければ、ひたすら我慢するしかない
金木はふと、同じあんていくで働いていた霧嶋董香の言葉を思い出す


──言っとくけど、喰種の飢えは…マジで地獄だから


確かにその通りだ
金木は、まだ喰種になったばかりの頃の自分を思い出す

食べたいけど、食べたくない

それが続いて、ついには自分の親友まで食おうとしていた。Aもそんなふうにはなりたくないだろう
そう思って金木はAを見た

「……A、右目が、」

『やっぱり…赫眼に、なっちゃってるよねー…』

Aはもう限界なのか、赫眼の制御が出来ていなかった。隻眼のAは手で片目を覆い隠す

すると、どこからか匂う喰種しか感じ取れないであろう、美味しそうな、どこか懐かしい匂い

Aは嫌でも勝手に足が動いてしまう

『…っ』

「A！行っちゃ駄目だっ！ここから離れよう」

金木はAの腕を引っ張る
だがAは動こうとしなかった、嫌、動けなかった

喰種は本能的に肉を欲する
いくら平然を装っていてもやはり本能には抗えなかった

するとAは自分の足を無理やり動かして匂いとは別の方向の路地裏に移動した
人目につかない所に行くとシャツの袖を捲る


そして、勢い良く自分の腕に噛み付いた

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