ぞっこん【宮侑】 (ページ6)

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元高校No. 1セッターの困惑ページ6

治side

「ツム、お前Aちゃんのこと好きなん？」

「は、ハアッッ‼︎⁇」

寮への帰り道、なんとなくツムに気になっとったことを尋ねてみると、ツムは喧しく大声を出した。

「うっさ。なんやねん」

うっとおしげに耳を塞ぐと、ツムは弁解するように首を振った。
ーーこんな過剰な反応で、気づかないとでも思っとんのか、こいつは。

「す、好きなわけあるかいな！今日会ったばっかりやのに､､､！」
「ほーん。ツムは好きでもない女子に昼メシ奢ったるような男か？」

ちゃうよな、という意味を込めていうが、ツムは「せやせや」と首をカクカクさせて頷く。
何がせや、や。バレンタインチョコのお返しすらせんのに、奢るなんて人道的な行為するわけあるかいな。

「どう考えてもおかしいやろ」
「おかしないわ！俺は近松門左衛門くらいには優しい心のある男や！」
「お前、近松門左衛門が何やったのか知っとんのか」
「知らんに決まっとるやろ」

これだからアホは､､､。
推薦入学だからって、一ミリも勉強してないんか。

「近松は人形浄瑠璃やで。別に社会を救うための思想を掲げた人間ちゃうぞ」
「なんで知っとん！？サム怖いわー」

､､､､､､､､､俺はお前が怖い。

「ほんで話逸らすなや。Aちゃんのこと好きなんやろ？」
「ハァァ､､､､､､？そんなどこの誰かも知らん奴､､､」
「烏野出身の柳Aちゃんやろ」

わかってはいたことやけど、やっぱ馬鹿やな。

「､､､､､､好き？俺が？」
「絶対そうやん」

ほーん､､､。と、ツムは空返事をし、頭の後ろで腕を組んだ。

「連絡先、教えてもらえばよかったなあ､､､､､､」

ぼそっとツムがそう呟いたのを、俺はしっかりと聞いてしまった。