ぞっこん【宮侑】 (ページ16)

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完成ページ16

「で、できたぁ､､､､､､！」

宮家直伝ほかほかご飯ーー治くんの熱心な指導により炊き上げることのできたお米は、いつもより一層きらきら輝いていた。
白い、ふっくらとしたツヤツヤなお米。

「おお！むっちゃ美味しそうやんか！」

治くんも一緒に喜んでくれた。
私はもはや師匠と呼ぶべき存在に頭を下げる。

「治くんのご指導のおかげです､､､！」
「大袈裟やって、ほら、カレーもそろそろできるで」

静かに煮込まれていたカレーに目を向ける。
鍋の中を見てみると、これもまた美味しそうに出来ていた。

「あっ、侑くん！見てみて！」

ソファでくつろいでいた侑くんを手招きすると、彼も勢いよく立ち上がって鍋を覗き込んだ。

「､､､､､､うまそう」
「ふふっ、でしょでしょ？」

思わずしたり顔で鼻を鳴らすと、侑くんは物珍しそうに私を見た。

「え、な、何？」
「んや、Aちゃんがここまで自慢げなの珍しいなぁと思て」
「あっ！？ごめん！調子乗りました､､､！」

元はと言えばこれは治くんのおかげ､､､！私の功績のように誇ってしまった。

「Aちゃんが嬉しそうならええけどな」

ほら、侑くんは、さらっとカッコいいことを言う。

「じゃあお皿よそうから、座って座って」

ふたりを椅子に促して、私は三人分のお皿を取り出す。
なんかすごい“大学生”みたい､､､なんて考えながらお皿を持ってテーブルに置くと、侑くんは我先へとスプーンを手に取った。

「おいツム、みんなでいただきますしてからスプーン取れや」

治くんからのごもっともな叱責で、しぶしぶといった感じでスプーンを置く侑くん。

「いただきます」

手と手を合わせて、三人一緒に唱える。

「ん、まーい！」

侑くんが声を上げた。

「ほんまやな、美味いわ」

治くんもリスみたいにカレーライスを口に詰め込んでいた。
私も一口食べてみると、うん、美味しい。

「あれっ、聞かなくてごめん、ふたりとも中辛で大丈夫だった？」
「平気や」

よかった、と、ほっと一息つく。

そこからは会話はなく、みんなでカレーライスに集中していた。

「ごちそうさまでした」

治くんが真っ先に食べ終わり、お皿をキッチンまで運んでくれた。

「そこまで気遣わなくても大丈夫だよ？」
「んや、ご馳走して貰ったんやし、こんくらいやらせてもらわんと」
「ありがとう」

気遣いに感謝。

侑くん、私と順に食べ終わり、その日はそのまま解散した。
侑くんと、次の約束を交わして。