好意 ページ14
「Aちゃん、はよ」
「おはよう、侑くん」
今日もいつも通り、大学前で侑くんと会う。
相変わらずの輝く笑顔に、心臓がきゅっと締め付けられるような気持ちになる。
可愛いって言われて、、、変に意識しちゃってる。
私って、単純な女なのだろうか。
ああ、やだやだ、恥ずかしい。
「あ、侑くん」
「ん?なんや?」
どうにか話したくて名前を呼ぶも、その先の話題を考えていたことでもなし、しばし黙り込んでしまう。
「えっと、、、。今日、一緒にご飯食べない?私作れるから」
思いつきで苦し紛れに誘ってみる。
すると侑くんはびっくりしたように目を見開き、すんで嬉しそうに顔をほころばせた。
「Aちゃんの料理食べてええの!?」
楽しみやなあ、と歩くスピードを少し速くする侑くん。
「うん、治くんよりクオリティは高くないかもだけど」
言ってしまったからには、ちゃんと美味しいのを作るように頑張らないと。
何がいいだろう、トロとカレーが好きって言ってたっけ?
トロは少し難しいから、カレーがいいかな。
「んや!Aちゃんの手料理ってだけで元気出るからええよ」
にぱっと効果音がつきそうなくらいの笑みだ。
試合後のインタビューのときとは違う、心からの笑顔って感じ。
「Aちゃんは?一人暮らし?」
「うん、実家宮城だから。今は仕送り貰ってるけど、いつかバイトして返さなきゃなーって思ってる」
「ほーん、偉いなぁ」
「いやいや、そんなこと」
バイトしてる自分の姿とか、全く想像できないけど。
「あっ、そうだ侑くん、今日治くんも誘っていい?」
「、、、、、、、、、サムも?」
「うん。美味しいご飯の炊き方のコツ、教えてもらいたくて」
そして、言わないけれど、侑くんとふたりきりとなると緊張してしまう気がして、、、。
でも、侑くんは一瞬寂しげな表情を閃かせて、すぐにパッと元の顔に戻った。
「ええよ、連れてきたるわ」
「ありがとう!」
「でも、その次はふたりで、な?」
この場にいない治くんに牽制するような言い草に、びっくりする。
「わかった」
軽々と頷いたけれど、まさか、治くんの存在を次の約束のための口実にしたわけじゃないよね、、、?
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瑞璃(プロフ) - ランキング載りおめでとうございます!!!2人の絡みが面白くて,読みながら笑ってしまったり…。幸せな気分になれました!これからも頑張って下さい! (2021年10月16日 15時) (レス) id: c5df66a723 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2021年9月26日 11時