物理。拾玖 ページ21
朝。起きると、私達は昨日のまま手を繋いでいた。
でも優しく手を退かせば、するりと手は離れた。
『……あ、起こしちゃいました？すみません』
「……手、離れたんだなァ」
ぐーぱーと私は右手を、不死川さんは左手を動かしてみる。
ひとりずつ自分の布団をたたんで、朝ごはんは久しぶりに右手で箸を使って食べた。
早く、手が離れたんならここに私がいる必要は無い。
しっかりと羽織を着て玄関前まで行けば、不死川さんはついてきてくれた。
『…じゃあ、行きますね。一週間お世話になりました。また任務で』
「あァ……おい」
戸に手をかけたとき、不死川さんに肩を掴まれる。
不思議に思ってくるりと振り向く。
「……来たい時に来て良いからな」
不死川さんにしては小さく言われたその言葉は、私の胸をあたたかくしてくれた。
何でこの人はこんなにあったかいんだろう。
『不死川さんも来ていいですからね』
私は羽織を翻して歩く。
右手に、隣に温もりが無いことが異常に寂しいけれど、そういう考えを頭から振り払って歩く。
久しぶりの自分の屋敷＿星屋敷。
鴉からの任務の命を受けて、帰るや否や場所に向かう。
私は不死川さんを忘れるぐらい、たくさんたくさん鬼を斬り刻んだ。
「………離れたなァ」
手が離れた。その方が便利なのに、何故か苛々する。
もう少し引きとめて良かったんじゃないか、任務が入るまで話してたって良かったんじゃないか
前の俺からは想像もつかねェような女々しい考えすら浮かぶ。
屋敷にはまだ彼奴の匂いが残っていて、そんなことまで考えてる自分が嫌になるくらい、
俺はずっと天野Aのことばかりさっきから考えている。
隣に彼奴がいることに慣れちまった。
何かを言えば、笑ってすぐに返してくれた。
時々変なことしやがるけど、それもひっくるめて彼奴の魅力だった。
ただ隣にいないだけで、何でこんなに喪失感を感じているのか。
自分がダセェ。
はあ、と大きなため息をついて左手を見る。
さっきまで、繋がってたんだよな
運良く、すぐに合同任務入んねェかな
今度はちゃんと引きとめるし、今度はちゃんと思ってること言ってやる。
��思ったことは言ったほうがいいですよ。あなたらしくありませんし、Aさんには言わないと通じません��
胡蝶のその言葉がまた浮かんで消えて、Aの笑顔が浮かんでは消えて。
頭からそれらを振り払って、刀を持ち直す。
全部忘れるくらい、刀を振りまくった。
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ナイトウルフ(プロフ) - 最後、、、！一気に読んじゃいました(笑)さねみんイケメン…この話が現実になればいいのにｯｯｯ 素敵な作品をありがとうございます！！ (2022年2月13日 1時) (
レス) @page28 id: 1bd66c2c15 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 夢中になって読みました！ 他の柱の物理も読みたいですーーー！ (2020年12月3日 0時) (レス) id: 1c30a1e22f (このIDを非表示/違反報告)
闇ちょこ(プロフ) - 番外編のおばみつちゅき(( (2020年7月31日 14時) (レス) id: e0b0a3b941 (このIDを非表示/違反報告)
銀時 - 凄い面白かった！天元が爆笑してるの想像したらめっちゃ笑えてきた！ (2020年4月24日 3時) (レス) id: 6c694a1b22 (このIDを非表示/違反報告)
瀬田 - 幸せです (2020年3月24日 22時) (レス) id: 2c549b1da3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空風まりも | 作成日時：2019年12月14日 20時
