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物理。玖 ページ11

気まずい。居間に戻ってきて、何とも言えない気まずい状況が続いていた。
どう何を言えばいいのかわからない。それどころかさっきのせいで、変に不死川さんを意識してしまう。


「…おい」

『は、はい!』


沈黙を破ったのは不死川さんだった。
彼は私の髪を右手で指差して言う。


「髪から水垂れてんぞ…さっきみたいにならないように拭いとけ」

『あっ…』


言われてみれば、左手だけで拭いたのでまだ髪は濡れている。
左手で拭こうとしていれば、不死川さんが私の頭にタオルを乗せて雑に拭き始めた。


『ひえっ』

「…左手じゃ上手くいかねェだろ。大人しくしてろ」


そう言われたので大人しく身をまかせる。不死川さんは拭き方は雑だけど、痛くない程度に力加減をしてくれている。ちらり、と顔を上げるとバッチリ目が合ってしまい顔に熱が集まる。
すぐに隠れるように少し俯いた。


『色々とすみません。さっきからわがまま言って挙げ句の果てに迷惑かけて…』

「そう思うなら俺にくっつかずにちゃんと寝かせろや」

『…はい』







今日も二人頑張って布団を敷いた。
昨日のように寝っ転がっている。でも昨日と違うのは、私の心臓がうるさいこと。
変に意識しているのか、わからないけどドキドキしっぱなしだ。


「…寝るからな…くっつくなよ…」


そう言う不死川さんはうつらうつらしていて、今にも寝そうな雰囲気である。
逆に私は目がぎらんぎらんに冴えている。これはどうしたものか。


『…あれ… もう寝ちゃったのかな』


体を横向きにして、目を閉じて穏やかに眠り始めた彼を観察する。
最初は傷がたくさんあって、目つきもちょっとキツめで、怖いなって思ってたけど、こんなに、穏やかに眠るんだなあなんて思ったり。
不意に、脳裏にさっきのお風呂上がりの不死川さんが浮かぶ。
またドキ、と心臓が跳ねた。


『…っあれは事故。気にしない気にしない…』


そう言ってぎゅっと目を瞑る。
少しすると、布団が擦れる音が聞こえたのでゆっくり目を開ける。
いつの間にか不死川さんが寄ってきていた。
目を開けた時にかなりびっくりした。近い。近すぎる。


「………A」

『えっ』


どうしよう。寝れない。
というか不死川さんに名前で呼ばれたことないから余計になんか恥ずかしい。しかも至近距離。
でもこの男、それに飽き足らず。


「……ん」

『…やばいよこれ…』


抱きしめられた時の対処法教えてください。
心臓がうるさくて、寝れない。

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ナイトウルフ(プロフ) - 最後、、、!一気に読んじゃいました(笑)さねみんイケメン…この話が現実になればいいのにッッッ 素敵な作品をありがとうございます!! (2022年2月13日 1時) (レス) @page28 id: 1bd66c2c15 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 夢中になって読みました! 他の柱の物理も読みたいですーーー! (2020年12月3日 0時) (レス) id: 1c30a1e22f (このIDを非表示/違反報告)
闇ちょこ(プロフ) - 番外編のおばみつちゅき(( (2020年7月31日 14時) (レス) id: e0b0a3b941 (このIDを非表示/違反報告)
銀時 - 凄い面白かった!天元が爆笑してるの想像したらめっちゃ笑えてきた! (2020年4月24日 3時) (レス) id: 6c694a1b22 (このIDを非表示/違反報告)
瀬田 - 幸せです (2020年3月24日 22時) (レス) id: 2c549b1da3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:空風まりも | 作成日時:2019年12月14日 20時

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