19.人質 ページ6
.
嫌だ。怖い
怖すぎて体が動かず抵抗できない
「はっ、あいつ…」
チャニョルさんは私の胸を見てそう言ったきり、ベッドから降りて部屋を出た
よかった…無事だよね…？
でもなんで？
気になって自分の胸を見ると、理由が分かってしまった
たくさんの赤い印が付いていたから
まだ最近の話だから全然綺麗に残ってる
『よかった〜』
オッパの独占欲に助けられた
こういうのを予想して付けてたならすごいけど流石にそんなことないよね？
いや、オッパなら予想して付けてたのかも…
.
.
.
目を覚ますと、もう朝になってた
「おはよう、Aちゃん」
うわ、チャニョルさんだ
「そんなに警戒しなくていいよ。もうあんなことしないから」
布団で顔を隠そうとしてたのがばれた
警戒してたってそれもそうなんだけどやっぱり異性に寝起きを見られたくない
「Aちゃん、朝ごはん一緒に食べよう」
ひまわりのように笑って言ってきた
私って人質だよね？なんで朝からこんな上の人と一緒に食べなきゃいけないの？
「んー、美味しい！これはね、俺が小3のとき…」
この人が分からない
第一印象は、お店で会ったときの"明るい人"だった
次の印象は、清龍会への仕打ちの"冷たい人"だ
そして今の印象は、"面白い人"
食べ物や自分のことをいっぱいしゃべってくれた
私を楽しませるように
駄目、心を開いちゃ
そう分かってるのに、この人の根っからの話し方や仕草は魔法のように私の心を開かせてくる
チャニョルさんとしゃべってると自分まで明るくなれるみたいだ
軽蔑しないといけない相手なのに………
_______________________
KAI side
今朝、黒虎会から連絡が来た
清龍の若頭の彼女を預かっていること
女を返して欲しかったら分家共に全ての組を正式に警察に伝えて解散すること
女をこのままにするなら清龍会に危害は加えないこと
女を助けようと試みたり、黒虎会を攻撃する素振りを見せたりしたら女の命は無いこと
という旨だった
セフンが行動できない状況をあえて作って人質をとる……か
完璧に仕込まれてやがる
そして厄介なのが、彼女が林星組の実娘だと言うこと
黒虎会はそれを知っているのだろうか
「お前がもし今の状況だったら解散してでも取り戻すんだろうな」
白い顔から反応が返ってくることはなかった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 96人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もか | 作成日時：2024年3月13日 20時
