【EXO】白龍ーーーsehun 2 (ページ34)

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29. then ページ34

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CHANYEOL side

月日は過ぎ、もう3月を迎えていた

相変わらず組の方は嫌がらせのように組員がやられていて、黙ってはいられない

けど正直きつい

ダメージが大きすぎる

どうせ清龍会だろう

それでも俺は清龍会のシマに行ってAちゃんに会いに行っていた

彼女を笑顔にさせたいから

彼女の笑った顔が好きだから

彼女の心に傷をつけたもとの原因が俺だと分かっていても、それを嬉しく思ってしまう自分がいた

これを利用して手に入れられる気がしたから

「この前入れてくれたやつまた頂戴」

『わかりました』

Aちゃんもだいぶ酒を入れるのに慣れてきて、なめらかな動作でカクテルを作ってる

ここからは後ろ姿しか見えないけどどうしても綺麗なうなじに目がいってしまう

『できました』

「ありがとう」

コト、と目の前にカクテルを置かれた

「ねえAちゃん」

『はい』

焦らずに、ゆっくりと

「セフンがAちゃんの記憶を無くしたって本当？」

Aちゃんの瞳から色が消えた

『はい、本当です』

どくんと心臓が跳ねた

Aちゃんが俺に向ける嫌悪感を払拭するよう、彼女を楽しませるよう、この３ヶ月頑張ってきたんだ

そのおかげかだんだんAちゃんも俺の前で笑顔が増えてきたんだ

「俺のもとに来ない？俺ならなんでもあげられる」

早まってしまった

「物でも、お金で買えないものも」

『お金で買えないもの…』

「そう、愛も」

"お金で買えないもの"という言葉を聞いた瞬間、彼女らの目の色が変わった

「どう？」

『………やめておきます』

「…そうか。わかった」

やっぱりそうか

タイミングだったのか、そもそも俺がいけなかったのか

「ただこれだけ聞かせて

Aちゃんはまだあいつに希望もってるの？

希望を持つのは悪いことじゃないけど持ちすぎたら自分の身を滅ぼすだけだよ」

言い過ぎた

でも、彼女のためでもあるんだ

『希望はとっくに捨てたし、今はまだびびっとくる人がいないだけです。

お金で買えないものはそんな人からもらいたいんです』

うわ、結構ささったー

俺には何もなかったんだ

でもこれで諦めがつく

「そうなんだ」

教えてくれてありがとう