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いつの間にか寝ていたみたい
今までにないくらい泣いて、寝てしまった
もう日が傾いていて、ベランダはオレンジ色に
「目を覚まされましたか?」
ドアが開いていて、そこには家政婦の女性がいた
ベストタイミングで入って来たってことは、監視カメラも設置されてるんだろう
「お腹が空いていると思います。夕食をお持ちしますね」
事務的なことしか話さないんだね
パタンと扉が閉められて、再び一人きりに
『はあー』
ベッドに思い切りダイブした
スマホが無いから連絡できないし、ここがどこかも分からないし、監視されてるしで最悪中の最悪
ふと、視界にベランダが入った
ここは2階で、ベランダ側の窓からは木々が目の前に見える
いわゆる、ベランダから飛び出せばそこは敷地外
できるかな…
いや、そこまでの勇気は無い
「失礼します。夕飯お持ちしました」
家政婦さんが入ってきた
出されたのは栄養バランスの良さそうなもの
美味しいんだろうけど、頭の中は考え事でいっぱいで味が入ってこない
誰か私が消えたことを心配してくれる人はいるのかな
今唯一血が繋がってる父親は、そもそも自分が消えたことを知らないだろう
そしてクラブももう辞めてしまったから私がいなくてもそれが当たり前。
これがまだ辞めてない時だったら私が居ないことで誰かが異変に気付いてくれてたのかもしれない
清龍会の人達も、大事な跡取りがこの窮状だから跡取りの彼女どころではない
身寄りが無いってこんなにも悲しいことなんだ
私の頼りはオッパしか居なかったんだ…
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全部食べ終わって、次は入浴を済ませた
お風呂に行く最中も廊下で見張りとたくさんすれ違ったのはさすがに気が引けた
部屋に着いて、やっと見張りから解放される
監視カメラはどこかに設置されてるんだろうけど…
それでも、家政婦の人はなかなか離れてくれない
『もう寝てもいいですか?』
「はい。それでは失礼します。おやすみなさい」
『おやすみなさい…』
案外すんなりと引き下がってくれた
電気をパチッと消されて、大きな部屋は真っ暗
何も見えないと思ったけど大きな窓とベランダから光が入ってくる
『うわぁ…』
ちょっと気になってベランダに出ると、綺麗な星空が見えた
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作者名:もか | 作成日時:2024年3月13日 20時