23. 嘘 ページ18
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KAI side
「ジョンイン、この女誰？」
友人の声がはっきりと聞こえた
『え？』「は？」
Aさんは明らかに動揺してる
『オッパ…本当に私が分かりませんか？』
「知らない」
知らないことないだろ？
一番忘れられないような人だろ？
あんなに好きだったのに
Aさんの目はどんどん潤っていってる
彼女はそのまま逃げるように病室から去って行った
【23. 嘘】
「おい、セフナ。Aさんが本当に分からないのか？！」
「ジョンイナ、誘拐ってどういうこと？」
こいつ、意識が戻ったばかりだというのに目が怒りに変わってる
さっきのは芝居っていうことなのか？
「お前………」
「そうだよ。全然Aちゃんのことは分かる。嘘ついた」
「なんで…そんな……」
相変わらず目は怒りで冷たい
意識を戻してAさんに黙って向けた眼差しは、とても優しかった
幼なじみの俺でも滅多に見れない目をしていた
思い返せば "誘拐" という単語を聞いた瞬間眼差しが変わったような
「Aちゃんは俺の傍にいるべき人じゃない」
「お前………」
セフンにAさんが誘拐された経緯を説明した
その間もあいつの顔は見てるこっちが寒気するくらい冷たかった
「俺、あの日黒虎会のやつに撃たれたんだよ」
「それは知ってる」
「大人しくしてれば彼女は狙わないって言われて、抵抗をやめたら撃たれた」
そんなことがあったのか…
「それでも黒虎会はセコいからAちゃんを守らないとって思ってクラブまで行ったわけ
繁華街の路地裏で撃たれたから距離的には無理じゃなかった」
「お前、そんなこと…」
「結局俺が先に伸びて大切な女を守れなかったけど。
…あのあとAちゃんが人質にとられたってことはそういうことだろ？」
自分の女を守れなかったということ
これは肯定した方がいいのか？
「今日は何日？」
この問に答えるのはつらい
予定を立ててあんなに嬉しそうにしてたセフンの顔を間近で見てたから
「24日だよ。クリスマスイブ」
「そうか」
セフンは目線を窓の外に移した
カーテンを閉めてないからソウルの夜景がよく見える
光の多くがイルミネーションとかの幸せを象徴する光なんだろう
「なあ、約束を守れないだけじゃなく彼女自身も守れない男どう思う？」
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作者名：もか | 作成日時：2024年3月13日 20時
