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「本当にお久しぶりですね。この1ヶ月間大変な目に合われたと聞きました」
『そうなんですよね…』
愛する人が銃撃事件にあって、自分は人質で監 禁されて、襲われかけて、彼氏には記憶を無くされた
しかもそれが退職した直後の出来事
こんな不幸なことある？厄年だっけ？
「今がご無事でなによりです」
『ありがとうございます』
そうだよ。こんなに不幸が続いても今元気な体があるって大切なことだ
「若頭はAさんの記憶を無くしたと聞きましたが、本当ですか？」
『はい、そうなんです』
「あんなにぞっこんだったのに？」
多分飲み物口に含んでたら吹き出してた
『は、ぞっこん？』
「はい。下っ端の私から見ても分かるくらいぞっこんでしたよ。
初めて出会ったの春くらいですよね？その頃から急に柔らかくなったし、急ぎでネックレスやら何やらを買わされました」
『あぁ、その節は本当に…』
「いいんですよ。あんな他人に執着する若頭初めて見れましたもん」
はは、と運転手さんは笑ってる
「記憶を失ってもまたAさんを好きになるんでしょうね」
『いやー、それはどうだろう………』
「どうしてですか？」
『すごく拒絶されてて、どうしたらいいのか』
「そんなことありますかね？若頭にかぎって」
「1人の女性の記憶失ったくらいで好みが変わることなんてあるのかな〜？」
ママと同じこと言ってる
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とりあえず必要な荷物は全部とりきった
自分の部屋に行くときも、寝室に行くときも、キッチンを通るときも、あらゆる出来事が頭に浮かんでくる
ここにいるときは必ず2人きりだったから、私たち2人しか知らないことがたくさんあるのに覚えてるのはもう私しかいない
『ばいばい…』
この家に別れを告げて、次の目的地へ向かった
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作者名：もか | 作成日時：2024年3月13日 20時
