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「その腕、大丈夫か?すごい包帯で巻かれてるけど。」

「…いえ、なにも。」




握られている手の先に包帯が見えたのだろう。菅原さんは心配そうに私を見た。

私は、紋章が刻まれているなんて言えない。
曖昧な言葉で濁した。





「そうだ…!陽の都に来たついでにしばらく烏屋に泊まっていたらどう?

何かの縁だべ、な?」



「…え、えっと、あの。」





眩しすぎる彼の笑顔に困惑。
断れない、すごく断りづらい。

私はこんなとき、自分のはっきり言えないこの性格を憎んだのだった。





「ん?なんかあった?」

「…私、菅原さんに会えてよかったです。








でも、今会って謝らなくちゃいけない方もいるんです。

だから、その…、烏屋にはいられないっていうか…。」





前を歩いて私の手を引く彼の顔も背中も見れない。下を向いて、ただ自分の足を眺めた。





「…そっか、お前も忙しくなったな。」

「…え、」





驚けば、菅原さんは立ち止まる。もちろんその後ろにいた私も止まるわけで。

握っていた手をとって、両方握られる。





「…俺には、あいつ(黒尾)みたいに妖力だけで何かを感じ取ることはできない。

その、包帯だって何があったかちゃんと聞きたい。
この短期間でどうしたんだろうって聞きたい。」


「…!菅原、さん…。ごめんなさい…。」






ただただ謝り続けた。
言いたい、でも彼に言ってまた止められてしまえばチャンスが無駄になる。

けど、菅原さんに断りを入れたのはこれで二回目。申し訳無さでいっぱい。



私は、出来る限りで今自分の身に起こっていることを話した。






「…きっと、何かしらあったんだと思う。

よくわからないけど、両腕に紋章ができていて、私の血には妖かしの血が入っているんです。






種族は、虎。水虎だったはず。

人間と妖かしの中途半端な間を生きる私をある方が妖怪修行だといって出されてきたんです。」





「…そう、だったんだな…。


包帯も、所詮は妖力封じなんだろ?急がないと薄れてくるんじゃないのか。」




俺には、わからないけど。と付け足して。

それでも尚彼は私の腕を握ってくれている。







「…かもしれませんね。」

「…あぁ、お前の言う謝らなくちゃいけない方っていうのは、牛若たちのことなんだよな?」





首をふって頷く。

それを見た菅原さんは、急に手を離し私の後ろへと回り込んだ。








次の瞬間、私は彼に背中を優しく押された。







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油揚げ(プロフ) - めちゃくちゃ楽しかったです!素敵な作品をありがとうございました!!! (2021年12月19日 22時) (レス) @page33 id: b66c454432 (このIDを非表示/違反報告)
ちーたん - なるほど!消す直前を見れていなかったので知らなくて申し訳ないです。次の作品も楽しみにしています! (2018年1月13日 11時) (レス) id: ce5d38f4dd (このIDを非表示/違反報告)
わちゃちゃ(プロフ) - ちーたんさん» あちらにも書きましたが、内容が不謹慎では?と友人からの指摘を受けたこと、受験が終わるまで中途半端にはしたくないこと、この二つから消すことにしました。読んでくださってたのに申し訳ありません…。次はいつになるかわかりませんが、読んでくださると幸いです。 (2018年1月11日 7時) (レス) id: 2b82fe3330 (このIDを非表示/違反報告)
ちーたん - すごく面白かったです!質問なのですが、なぜ新作(?)を消してしまわれたのでしょうか?あっちも最高だったので…。でも、次のやつも楽しみにしています!頑張ってください! (2018年1月9日 0時) (レス) id: ce5d38f4dd (このIDを非表示/違反報告)
わちゃちゃ(プロフ) - 瑛さん» コメントありがとうございます!終わってしまいましたね…。意味深な終わらせ方をしたのは自分の表現力の無さが生み出した賜物ですね(笑)ありがとうございます!案は浮かんでいるので早めにだそうと思っています。読んでいただきありがとうございました!! (2017年12月12日 17時) (レス) id: 2b82fe3330 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わちゃちゃ | 作成日時:2017年11月15日 22時

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