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「…ふー、食った食った。」
「ごちそうさまでした。」
うどんを食べ終え、菅原さんがお皿を取りに来た。
「食器お下げしますねー。」
「お願いします…。」
二人分のお椀を持って奥へと消えた菅原さん。
菅原さんにも話をしたいのだが、アルバイトの話もどうしようか迷う。
もし、烏屋でも何かさせてもらえるのならそれでも構わないが、断られたら元も子もない。
「…あの、黒尾さん。」
「ん?」
「…食べたらもう、帰られますか?」
「んー今のところはそんなつもりだな。どうかしたか?」
アルバイトのことで、とは言い出せなかったがとりあえずご馳走様でした。とだけを言っておいた。
それを言えば、黒尾さんは懐からお財布を取り出し仕方ねぇなあ、とお支払へ向かった。
「…A、どこで修行するつもりだ?」
「決めてないです。
でも、正直会いたい方もいてそこなら位の高い妖かしがいるのでそこに行きたいんです。」
目を瞑れば、彼らの影が脳裏に浮かぶ。
何も言わず出てきてしまったことを申し訳なく思う。
ならばはやく、謝りに行こうと思っている。
「ふーん。ま、俺はどこでもいいと思うが、烏屋でもいいと思うぞ。」
「…そうですか。あの、これから陰の都へ帰るんですよね?だったら、」
宮さんたちに伝言頼んでもいいですか。
私は、黒尾さんに頭を下げた。
黒尾さん自体、あの二人と関わりがなかったしたぶん気まずいと思うが一応の連絡手段として彼を使う。
「…構わねぇけど、なんて言えばいいんだ?」
「…これから、―――――――――――――――…って、」
ほうほう、とにやけながらも黒尾さんは、興味深く聞いていた。
我ながら大胆な発言ではあったが、構わない。直接言うのではないから、任せてしまえ。と伝言を頼んだ。
「…んじゃ、一文一句間違えずに伝えとくな。」
「お願いします…!」
私よりも先に烏屋からでて、来た道をゆっくりと歩いていった黒尾さん。
彼の背中はたくましくて、その隣を歩いてきたとなるとやけに自分が小さく感じられた。
すごく、ちっぽけな存在。
遠く先まで見えなくなるほど眺めていれば、店の方から足音が聞こえた。
「…A、今大丈夫か?」
「…構いませんよ。菅原さんも大丈夫ですか?」
何も言わず、手を取られ歩き出した。
それはイエスということ。
私達は黒尾さんと全く逆の方へと歩き出した。
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油揚げ(プロフ) - めちゃくちゃ楽しかったです!素敵な作品をありがとうございました!!! (2021年12月19日 22時) (レス) @page33 id: b66c454432 (このIDを非表示/違反報告)
ちーたん - なるほど!消す直前を見れていなかったので知らなくて申し訳ないです。次の作品も楽しみにしています! (2018年1月13日 11時) (レス) id: ce5d38f4dd (このIDを非表示/違反報告)
わちゃちゃ(プロフ) - ちーたんさん» あちらにも書きましたが、内容が不謹慎では?と友人からの指摘を受けたこと、受験が終わるまで中途半端にはしたくないこと、この二つから消すことにしました。読んでくださってたのに申し訳ありません…。次はいつになるかわかりませんが、読んでくださると幸いです。 (2018年1月11日 7時) (レス) id: 2b82fe3330 (このIDを非表示/違反報告)
ちーたん - すごく面白かったです!質問なのですが、なぜ新作(?)を消してしまわれたのでしょうか?あっちも最高だったので…。でも、次のやつも楽しみにしています!頑張ってください! (2018年1月9日 0時) (レス) id: ce5d38f4dd (このIDを非表示/違反報告)
わちゃちゃ(プロフ) - 瑛さん» コメントありがとうございます!終わってしまいましたね…。意味深な終わらせ方をしたのは自分の表現力の無さが生み出した賜物ですね(笑)ありがとうございます!案は浮かんでいるので早めにだそうと思っています。読んでいただきありがとうございました!! (2017年12月12日 17時) (レス) id: 2b82fe3330 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わちゃちゃ | 作成日時:2017年11月15日 22時