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「お足元にご注意くださーい。」
「…っとっと、」
岩が剥き出しの少し小さめの洞窟。
前を歩いている天童さんの光しかないため、足元が真っ暗で転びそうになる。
「…あ、あの。いつまで歩くんですか…?」
洞窟に入ってからかなりの時間が経っている気がする。
前の天童さんは懐から懐中時計をとりだし、中を開いて時間を見た。
「…あと数分ダネ!そんなにつかれてるなら俺が足になってあげてもいいけど…?」
「…い、いえ。大丈夫です…。」
デジャヴだ。やめてくれ。
これ以上誰かに担がれたり抱かれるのは気を遣いすぎてつかれてしまう。
つらさよりも気持ちを優先し、疲れてきた足にムチを打って歩く。
「…おっ。」
「天童さん、ここらへんですよ。」
天童さんの背で前が見えないが、少しの光が隙間から漏れているのが見えた。
一歩、また一歩踏み出し洞窟の出口に来た。
「…ッきれい…。」
息を呑むほどの美しさに、咄嗟に出た言葉はたったそれだけ。
キラキラと何重も反射している鉱石や、そのもととなっているであろう石や岩が連なっていた。
「天気が悪いと、こんなにも輝くし入りやすいからよかったねぇ。」
「そうなんですか?」
「説は色々あるけど、こういう天気の悪い日ほど洞窟に入りやすくて石が取りやすいんだ。」
少しウロウロして、自分よりも大きい鉱石の前に立ってみる。
「…か、鏡みたい…!」
「やっぱりAチャンも女の子ダネ?」
その後は、二人に手伝ってもらいながら手軽な石を取って削り掌サイズほどのものになった。
「少し、小さすぎますかね?」
「紐でもつけてネックレスにしたら?」
二つの石に紐をくくりつけて、首から下げれるようにした。
こうやって見ると、教科書なんかで見た原始時代の飾り風な気がしてならなかった。
「…全然不格好じゃないし、きっと喜んでくれるって。」
俺だったらイチコロかなー、なんて冗談かます天童さん。
それでも、これを受け取ってくれることを考えながら、帰る支度を進めた。
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油揚げ(プロフ) - めちゃくちゃ楽しかったです!素敵な作品をありがとうございました!!! (2021年12月19日 22時) (レス) @page33 id: b66c454432 (このIDを非表示/違反報告)
ちーたん - なるほど!消す直前を見れていなかったので知らなくて申し訳ないです。次の作品も楽しみにしています! (2018年1月13日 11時) (レス) id: ce5d38f4dd (このIDを非表示/違反報告)
わちゃちゃ(プロフ) - ちーたんさん» あちらにも書きましたが、内容が不謹慎では?と友人からの指摘を受けたこと、受験が終わるまで中途半端にはしたくないこと、この二つから消すことにしました。読んでくださってたのに申し訳ありません…。次はいつになるかわかりませんが、読んでくださると幸いです。 (2018年1月11日 7時) (レス) id: 2b82fe3330 (このIDを非表示/違反報告)
ちーたん - すごく面白かったです!質問なのですが、なぜ新作(?)を消してしまわれたのでしょうか?あっちも最高だったので…。でも、次のやつも楽しみにしています!頑張ってください! (2018年1月9日 0時) (レス) id: ce5d38f4dd (このIDを非表示/違反報告)
わちゃちゃ(プロフ) - 瑛さん» コメントありがとうございます!終わってしまいましたね…。意味深な終わらせ方をしたのは自分の表現力の無さが生み出した賜物ですね(笑)ありがとうございます!案は浮かんでいるので早めにだそうと思っています。読んでいただきありがとうございました!! (2017年12月12日 17時) (レス) id: 2b82fe3330 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わちゃちゃ | 作成日時:2017年11月15日 22時