▷番外編5 ページ49
剣持くんの家に遊びに行ったら、通されたのは剣持くんの部屋だった。
部屋の中央に置かれているケーキと紅茶の乗ったテーブルに、向かい合わせになるようクッションが置かれていて、私はベッドを背もたれにできるようにとベッド側の席に通される。
緊張でガチガチの私を気遣ってか「あ、そうそう。」と剣持くんいつもより明るい調子で言葉を発した。
「昨日、親戚の結婚式に行ってきたんですよ。」
「そうなんだ!昨日晴れてたし。綺麗だったんだろうな〜…!」
調子を合わせようといつもより明るく答えたが、勢い余すぎて食い気味になってしまった。
それがバレたのか、剣持くんが笑いながら言葉を続ける。
「やっぱり憧れとかあります?」
「あるよ、やっぱり。」
「安達さん、ドレス似合いそうですね。」
「…そ、そうかな。」
ストレートにキザなことを言う剣持くんに照れて俯き気味に笑うと、不意にとんと肩に自分のものではない体温が触れた。
そういえばすごい自然な流れで隣に移動してきたな、剣持くん。
緊張で強張るが、それを悟られないように無理矢理明るい声を出す。
「ウェディングケーキがすごく大きくてびっくりしました。」
「全部食べられるやつがいいなぁ。純白のドレスも大きなケーキも、全部夢だもん。一気に叶ったらすごい幸せ。」
「あは、いいですね。」
ゆるい会話が続いてほっとしていると、つん、と手のひらをつつかれた。
「…手、繋いでもいいですか?」
「…うん。」
緩く繋がれた手のせいで生まれた沈黙。
それを埋めるように、剣持くんがまた言葉を続ける。
「プロポーズがロマンチックで。クリスマスに夜景見えるレストランで、だったらしいです。」
「えっ、うわすごい、全乙女の夢だ…。」
「ふふ、それ聞いた時、安達さん好きそうだな〜って思いました。」
甘さの混ざった声で囁くように言われて心拍数が上昇していく。
「……うん、好き。」
なんとか返事を返すと、剣持くんが小さく微笑んだ。
繋いでいた手が解かれ、細い指が私の首をなぞり髪を掬う。
観念しろとでも言うようにじっと見つめてくる、熱を孕んだ緑の瞳から目が離せない。
______…あ、これ、
「キスしてもいいですか?」
そっと呟かれた言葉に、随分待たせてしまったなとかそんなことを考えながら、小さく頷いて肩の力を抜いた。
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せそ(プロフ) - むーさん» コメントありがとうございます!試行錯誤しながら書いてたのでそう言っていただけると安心します…!嬉しいです!神作と言っていただけたのが過言にならないように頑張りますね!? (2022年7月18日 18時) (レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
せそ(プロフ) - 199594198593さん» コメントありがとうございます!おかえりなさい!!(?)最高嬉しいです〜最高を書き続けられるように頑張りたいですね… (2022年7月18日 18時) (レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
むー(プロフ) - ふへ…ふへへ…(キショ)すごい好きです…!knmtの解釈一致すぎてもう最高です、神作をありがとうございます…!!! (2022年7月13日 22時) (レス) @page48 id: c6860a711c (このIDを非表示/違反報告)
199594198593(プロフ) - 番外編まで最高だァ… (2022年7月12日 9時) (レス) @page48 id: d656d21813 (このIDを非表示/違反報告)
せそ(プロフ) - ミウラさん» コメントありがとうございます!大好き嬉しいです〜!番外編まで読んでくださってありがとうございます!あと数話お付き合いください💖 (2022年7月4日 0時) (レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せそ | 作成日時:2022年4月12日 18時