▷番外編3 ページ47
横に置かれたジュースの氷が溶けてカランと音を立てた。
静かな部屋にその音はいやに響いて、思わずペンの動きを止めてしまう。
目の前に座っている剣持くんを盗み見ると目が合った。慌てて逸らすも、しっかり笑われてしまう。
「わからない所がありました?」
「いや…。」
「僕に見惚れるのは結構ですが、お勉強はしっかりしましょうね〜。」
「っな、な…。」
何言ってるの、と言おうとしたのに、顔を手で包み込まれて何も言えなくなってしまった。
そのまま下に向けられる。
………完っ全に遊ばれてる。
不服に思って剣持くんを睨むも、当の本人は白々しい顔で問題を解いているんだからもうため息しか出ない。
「………あ。」
「ん?」
「……っ、ここ途中からわかんない。」
「……あー、ここは…。」
びっくりした。
「ん?」の声が優しすぎて。
さっきから邪念が多いぞ、私。
心の中で自分に喝を入れて、剣持くんの解説に合わせてペンを走らせる。
別解までしっかりとノートに書き込んだ後「一回自分で解いてみてください。見てますんで。」という指示に従い、類題を解く。
「……合ってる?」
「……うん、答えも解法も合ってました。さっきの問題と違って引っ掛けがあったのにスラスラ解けてましたね。」
「剣持くんの教え方が上手だから。」
「安達さんの飲み込みが早いからですよ。あ、強いて言うならここ。間違ってはないですけど、この公式ならもっと早いです。」
剣持くんの補足説明を聞きながら、本当に教えるのが上手だなと感心する。
剣持くんの説明を書き切って、小さく伸びをした。
「疲れました?」
「ちょっとだけ。」
「朝からぶっ続けでしたもんね、少し休憩しましょう。休憩の後は英語の長文やりませんか?」
「あ、英語は得意!少しは役に立てるかも。」
「んふふ、よろしくお願いします。」
お菓子でも持ってきますね、と自然な流れで頭を撫でられて思考が停止する。
ドアが閉まった後、机に突っ伏した。
ハードワークの間に挟まれる糖分に脳がバグりそう。
でもせっかく剣持くんが教えてくれたんだから、明日の小テストはいい点を取りたい。
剣持くんが戻ってくるまでの間はせめて、と再度ノートにペンを走らせた。
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ある様リクエストありがとうございました〜〜〜😭
ご期待に沿えていましたら嬉しいです!!
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せそ(プロフ) - むーさん» コメントありがとうございます!試行錯誤しながら書いてたのでそう言っていただけると安心します…!嬉しいです!神作と言っていただけたのが過言にならないように頑張りますね!? (2022年7月18日 18時) (レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
せそ(プロフ) - 199594198593さん» コメントありがとうございます!おかえりなさい!!(?)最高嬉しいです〜最高を書き続けられるように頑張りたいですね… (2022年7月18日 18時) (レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
むー(プロフ) - ふへ…ふへへ…(キショ)すごい好きです…!knmtの解釈一致すぎてもう最高です、神作をありがとうございます…!!! (2022年7月13日 22時) (レス) @page48 id: c6860a711c (このIDを非表示/違反報告)
199594198593(プロフ) - 番外編まで最高だァ… (2022年7月12日 9時) (レス) @page48 id: d656d21813 (このIDを非表示/違反報告)
せそ(プロフ) - ミウラさん» コメントありがとうございます!大好き嬉しいです〜!番外編まで読んでくださってありがとうございます!あと数話お付き合いください💖 (2022年7月4日 0時) (レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せそ | 作成日時:2022年4月12日 18時