▷三十七言目 ページ37
今日の天気は快晴。
絶好の体育祭日和だ。
運動場にはクラスごとにテントが並んでいて、その下に人数分の椅子が置かれている。
一応席の並びは出席番号順となっているのだが、開会式と選手宣誓で非常に盛り上がった後にはもうそんなの関係なくなっていて、席どころかテントを飛び越えて友達のところに行ってしまう人ばかりだった。
女子はそこで写真を撮っているし、男子はふざけて肩車とかして各々盛り上がってる。
そんな中私は、チアの女子達に尋問を受けています。
「昨日、剣持と二人で手繋いで帰ったって本当?」
「てっ、手なんか繋いでないよ!尾ひれ付きすぎ!!」
「じゃあ一緒に帰ったのは本当なんだ。」
あっ、ミスった。
サッと血の気が引く私を見て、チアの子達はヘぇ〜と笑みを含んだ声で呟き、ポンポンでにやけている口元を隠した。
「確認だけど、まだ付き合ってないんだよね?」
「な、ないない…全然…。」
「いい感じだと思うけどな〜!」
「今日いけるよ!こういうイベントの時ってガード緩くなるからそこ狙ってこ。」
とりあえず髪やろ、髪!チアの皆でお揃いにしよ、誰かヘアゴム持ってる人いる?と目の前で盛り上がる女子達に促されるままに椅子に座った。
両サイドから髪を編み込まれて、カラフルなヘアピンで前髪を留められる。
ハチマキある?という問いに心臓が跳ねた。
いやいや、バレないでしょ。
名前は端っこに小さく書かれてるだけだし、ハチマキの色は赤だから目立たないはず。
それにいちいち気にしないって。
少し躊躇った後、ハチマキを渡した。普通に受け取ってくれてほっと胸を撫で下ろす。
「…………ねえ、安達さん。まじで剣持と付き合ってないの?」
「……。ないけど…。」
「でもハチマキ、剣持のじゃん。」
そう言った瞬間きゃーっ!!?と一気に盛り上がる女子達。
しっかりバレた。
必死に弁解するも、皆全く耳を貸してくれない。
急に静かになったと思ったら、後ろからポンと肩を叩かれた。
何!?と若干キレ気味に振り向くと、びっくりした顔の剣持くんが…。
……剣持くん!!?
「……っえ、あ、ごめ、何…。」
「いえ、僕最初のリレー出るので服預かっててもらえないかなと思って…。あ、髪可愛いですね。」
にこりと微笑む剣持くんに、後ろから聞こえてくる騒ぎ声も聞こえなくなる程、心臓が大きな音を立てた。
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せそ(プロフ) - むーさん» コメントありがとうございます!試行錯誤しながら書いてたのでそう言っていただけると安心します…!嬉しいです!神作と言っていただけたのが過言にならないように頑張りますね!? (2022年7月18日 18時) (レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
せそ(プロフ) - 199594198593さん» コメントありがとうございます!おかえりなさい!!(?)最高嬉しいです〜最高を書き続けられるように頑張りたいですね… (2022年7月18日 18時) (レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
むー(プロフ) - ふへ…ふへへ…(キショ)すごい好きです…!knmtの解釈一致すぎてもう最高です、神作をありがとうございます…!!! (2022年7月13日 22時) (レス) @page48 id: c6860a711c (このIDを非表示/違反報告)
199594198593(プロフ) - 番外編まで最高だァ… (2022年7月12日 9時) (レス) @page48 id: d656d21813 (このIDを非表示/違反報告)
せそ(プロフ) - ミウラさん» コメントありがとうございます!大好き嬉しいです〜!番外編まで読んでくださってありがとうございます!あと数話お付き合いください💖 (2022年7月4日 0時) (レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せそ | 作成日時:2022年4月12日 18時