▷三十四言目 ページ34
あの一件以降、剣持くんに話しかける頻度が増えた。
剣道部の練習があるということを知ったから、もう剣持くんを放課後に呼び出すことはなくなったけど。
練習が放課後すぐに(しかも時間厳しめのが)あるなら言ってくれれば良かったのにと申し訳なく思うのと同時に、怖い顧問に怒られるのに呼び出しに毎回応じてくれていたという事実が限りなく嬉しい。
これ以上期待させないでほしい。
いや、期待してもいいって言ったのは剣持くんなんだけどほら、万が一違った時にショック受けたくないし。
言い訳をうだうだ考えて、自分の中で剣持くんに振られる可能性が“万が一”になっているのに気付いた。
大分自惚れてきたよな、と少し恥ずかしく思う。
「安達さん、さっきの授業眠そうでしたけど大丈夫ですか？飴玉ありますけどいります？」
「甘いもの食べたら余計眠くなりそう…。」
「んふ、確かに。」
ピンク色の包紙の飴玉をいくつか机の上に置いて、これどうしましょうと苦笑する剣持くん。
前は業務連絡だけだったのが、今ではこんな他愛ない会話ができるようになっている。
こんな小さなことでも、いちいち喜びを噛みしめるのだ。
「どうしたの？それ。」
「さっき進藤にもらったんです。でも僕そんな数食べませんし。……やっぱり安達さんひとつもらってくれませんか？」
「あはは、じゃあもらおうかな。」
僕もひとつ食べちゃおう、と飴玉を口に放り込む剣持くんに倣って、私も飴玉を口に運ぶ。
舌の上にじわりといちごの味が広がった。
「そういえばそろそろ体育祭がありますよ。」
「あ、そっか。うちの学校やるの早いよね。他の学校は秋とかなのに。」
「秋は文化祭がありますもんね。」
どっちも楽しみだねと笑い合う。
胸の奥がくすぐったい。
落ち着かなくて、机の下で足を動かした。
「安達さんはチア出るんですか？」
「えっ。…どうだろ。剣持くんが男子の応援団出るなら出ようかな。」
「えー？じゃあ出ようかな。」
敬語がちょいちょい外れる剣持くんにそわそわする。
たまに思わせぶりな発言をしてくるのも、会話やボディタッチが増えたのも。
前なら戸惑って必死に恋心を抑え込むだけだったが、今では素直に喜んで楽しめるようになっている。
まだ戸惑いはするけども。
自分の内面の変化と二人の関係の変化を感じて、嬉しくて思わず笑みが溢れた。
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せそ(プロフ) - むーさん» コメントありがとうございます！試行錯誤しながら書いてたのでそう言っていただけると安心します…！嬉しいです！神作と言っていただけたのが過言にならないように頑張りますね！？ (2022年7月18日 18時) (
レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
せそ(プロフ) - 199594198593さん» コメントありがとうございます！おかえりなさい！！（？）最高嬉しいです〜最高を書き続けられるように頑張りたいですね… (2022年7月18日 18時) (レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
むー(プロフ) - ふへ…ふへへ…(ｷｼｮ)すごい好きです…！knmtの解釈一致すぎてもう最高です、神作をありがとうございます…!!! (2022年7月13日 22時) (レス) @page48 id: c6860a711c (このIDを非表示/違反報告)
199594198593(プロフ) - 番外編まで最高だァ… (2022年7月12日 9時) (レス) @page48 id: d656d21813 (このIDを非表示/違反報告)
せそ(プロフ) - ミウラさん» コメントありがとうございます！大好き嬉しいです〜！番外編まで読んでくださってありがとうございます！あと数話お付き合いください💖 (2022年7月4日 0時) (レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せそ | 作成日時：2022年4月12日 18時
