▶四言目 ページ4
_____おい、いい加減にしろよ!!
思わず飛び出しそうになった言葉を、すんでのところで飲み込んだ。
「えーっ!Aちゃんまだ剣持くんに告白できてないの!?」
「ちょ、声大きいよ!私が剣持くんを好きなのは内緒なんだって!!」
いやお前の方が大きいわ。
心の中でキツめにツッコミを入れないと、自分の意に反して熱くなる頬に意識を向けてしまいそうになる。
胸の奥で何かがぐつぐつと煮立つようなむず痒い感情に、リアルに頭を抱えてしまった。
職員会議だかなんだかで授業がいつもより早く終わった日の放課後。
ほとんどの生徒は、そのまま遊びに行くか早く帰るかで、教室にはいつもより人が居ない。
確かに女子が教室で駄弁るのにこんな最適な日はない。
別にこんなの関係なくいつでも駄弁ってる気もするけど。
剣道部の連中は久々に部活がないからとはしゃいでラーメンを食べに行った。僕も一緒に行ったのだが、明日提出の宿題を机の中に忘れたことに気付いて戻ってきたのだ。
そしたらこんな美味し………気まずい状況に立ち会ってしまったというわけだ。
僕は何も悪くない。
このまま入っていけるほど僕の神経は図太くないし、僕に聞かれたと寝込む安達さんが想像に容易いし、それに。
(……顔の熱、おさまんねぇな……。)
今の僕は非常にカッコ悪いので。
僕のイメージを崩さないためにも、教室に入れないのだ。
だからここで盗み聞きみたいなことをしているのも致し方ない。そう、仕方ないのだ。
「なんで?Aちゃん放課後毎日剣持くん呼び出してるじゃん。剣持くんも毎回それに行っちゃうし。二人はもう付き合ってるのかと思ってた。」
「いやいや、それがこいつ意気地なしだから、呼び出すだけ呼び出してなんも言えてないの。」
「それなのに剣持くん毎日呼び出されてくれてるの?なんかそれって…。」
「そうなの!剣持くんとことん優しいの!罪深いよね!!」
_____罪深いのはお前の方だろ。
思わず喉の奥から「ぐぅ…。」と小さくうめき声が漏れた。
頬はもう言い逃れができないほど真っ赤だろう。
くそ、こいつはいつもいつも…。
「ほんとかっこいいよね。剣持くん。」
「っ…。」
ほんとに…!!
恥ずかしそうに、でも嬉しそうな彼女の声に喉の奥がぎゅっと締め付けられ、なんとか吐き出したため息も細く震えていた。
僕これいつか死ぬな。
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せそ(プロフ) - むーさん» コメントありがとうございます!試行錯誤しながら書いてたのでそう言っていただけると安心します…!嬉しいです!神作と言っていただけたのが過言にならないように頑張りますね!? (2022年7月18日 18時) (レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
せそ(プロフ) - 199594198593さん» コメントありがとうございます!おかえりなさい!!(?)最高嬉しいです〜最高を書き続けられるように頑張りたいですね… (2022年7月18日 18時) (レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
むー(プロフ) - ふへ…ふへへ…(キショ)すごい好きです…!knmtの解釈一致すぎてもう最高です、神作をありがとうございます…!!! (2022年7月13日 22時) (レス) @page48 id: c6860a711c (このIDを非表示/違反報告)
199594198593(プロフ) - 番外編まで最高だァ… (2022年7月12日 9時) (レス) @page48 id: d656d21813 (このIDを非表示/違反報告)
せそ(プロフ) - ミウラさん» コメントありがとうございます!大好き嬉しいです〜!番外編まで読んでくださってありがとうございます!あと数話お付き合いください💖 (2022年7月4日 0時) (レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せそ | 作成日時:2022年4月12日 18時