▷二十六言目 ページ26
「美味しかったですね。」
「美味しかった！連れてきてくれてありがとう。」
「喜んでもらえたらなら良かったです。」
百点満点の解答とともに、ふんわり優しく微笑む剣持くん。
直視したら顔どころか全身が熱くなりそうだ。
ここで可愛い女の子なら、しっかりと相手の目を見て上目遣いなんかしちゃったりして、ガッツリ好感度を稼ぐんだろう。
私にそんな芸当はできないので、剣持くんを若干横目に見ながら会話をする。
「次どこか行きたいところあります？」
「……あー…えっと…。」
これで行きたいところを言わなかったら解散って流れになっちゃうかな。
焦る頭でここら辺の地図を頭に思い浮かべて、必死に手頃な場所を探す。
「無さそうなら、僕ちょっと行きたいところがあるんですけど…。」
「あ、うん！付き合う！行こう！」
あっっぶな！！助かった！！！
ここら辺カフェしかないじゃんと焦っていたら、剣持くんの方から行き先を提案してくれた。
食い気味にそれに乗っかる。
私が了承した瞬間「あ、でもやっぱり女の子をあそこに連れて行くのは…。」と渋り出した剣持くんを「いいから！」と引っ張って歩き出す。
「どこ行きたいの？」
「…………ゲームセンターです。」
珍しく歯切れの悪い返事と、薄く染まった頬に心臓がきゅんと鳴る。
け、剣持くんが照れている…。
初めて見た、と密かにテンションを上げていると、ぽつっと水滴が鼻先に降ってきた。
空を見上げると、先程の雨粒を合図にするように大粒の雨が勢いよく降ってくる。
「安達さん、こっち！」
「う、うん！」
軽くパニックになっていると前に腕を引っ張られて、足がもつれそうになりながらも引っ張られるままに必死に走る。
「うわっ。」
少し走ったところで、より一層強くぐっと前に腕を引っ張られて剣持くんより前に出た。
前のめりになったところで背中を押される。
急なことで倒れそうになった私を支えるためにお腹に回った手に気づいて、ドッと心拍数が上がる。
ふと、雨の音はもう聞こえないことに気付いた。
ぽつ、と腕に温かい水滴が一粒落ちてくる。
「乱暴にしてすみません。大丈夫ですか？」
「………うん。」
_____ああ、メイクが落ちた顔にこんなに近付かれることになるなら、私は傘を持ってきたのに。
本日何度目かの緑の目を前に、天気予報を恨んだ。
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せそ(プロフ) - むーさん» コメントありがとうございます！試行錯誤しながら書いてたのでそう言っていただけると安心します…！嬉しいです！神作と言っていただけたのが過言にならないように頑張りますね！？ (2022年7月18日 18時) (
レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
せそ(プロフ) - 199594198593さん» コメントありがとうございます！おかえりなさい！！（？）最高嬉しいです〜最高を書き続けられるように頑張りたいですね… (2022年7月18日 18時) (レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
むー(プロフ) - ふへ…ふへへ…(ｷｼｮ)すごい好きです…！knmtの解釈一致すぎてもう最高です、神作をありがとうございます…!!! (2022年7月13日 22時) (レス) @page48 id: c6860a711c (このIDを非表示/違反報告)
199594198593(プロフ) - 番外編まで最高だァ… (2022年7月12日 9時) (レス) @page48 id: d656d21813 (このIDを非表示/違反報告)
せそ(プロフ) - ミウラさん» コメントありがとうございます！大好き嬉しいです〜！番外編まで読んでくださってありがとうございます！あと数話お付き合いください💖 (2022年7月4日 0時) (レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せそ | 作成日時：2022年4月12日 18時
