▷二十三言目 ページ23
「Open」と札の掛けられた木の扉を開けると、カランコロンとベルが鳴る。
レンガ作りの落ち着いた内装に見惚れていると、めちゃくちゃ美人の店員さんがいらっしゃいませと笑顔を向けてくれた。
や、やばい、なんか思ってた五倍はお洒落なとこだ。
オーラが凄くてたじろぐ私の壁になってくれるように、剣持くんがスッと前に出る。
「予約の剣持です。」
「えっ…。」
「剣持様、お待ちしておりました。お席までご案内させていただきます。」
驚きで動けなくなった私を察したのか、軽く手を引いてくれる剣持くんにいよいよ思考が停止する。
通されたのは窓際の一番奥にある二人席だった。
お昼にしては遅めの時間だったからか、隣の席は空いている。
「……めっちゃくちゃ美味しそう……!」
「迷いますね。」
これまたお洒落なメニュー表に並んだオムライスの写真。
悩んだ末、私は定番のケチャップオムライスを、剣持くんはデミグラスソースのオムライスを頼んだ。
「……。」
「……。」
注文し終わった瞬間、ふっと空気が緩んだと共にさっき手を繋いだ時の微妙な空気感が襲ってくる。
私達の間には、当然のように沈黙が流れた。
「………え、映画面白かったね!」
「…そうですね。やっぱり話題になってただけありました。」
話題を振ると、剣持くんは少し驚いた顔をした後笑顔で話に乗ってくれた。
映画観てよかった!会話のきっかけ作れて偉いぞ私!!
そこからしばらくどこが良かった、すごかったと話していると、剣持くんが思い出したかのように言った。
「そういえば、アクションシーンの迫力すごくて目立ちませんでしたけど、ストーリー的には恋愛色強めでしたね。」
「確かに。」
戦禍での命懸けの告白シーン良かったです、俳優さんが格好良くて、とニコニコで話を続ける剣持くんに、ふと下心が顔を出す。
「……剣持くんはさ、どんな時、どんな風に告白されたいとかあるの?」
「え?」
……っ、や、やっちまった〜…!!
これは完全に踏み込みすぎた!!!
慌てて訂正しようとすると、剣持くんが少し考え込むような仕草を見せた後、静かに呟いた。
「そうですね。______…初めて二人で出掛けた日に、とか。」
意味あり気な緑色の瞳と視線がかち合う。
映画館の時と同様、私はまた何も考えられなくなってしまうのだった。
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せそ(プロフ) - むーさん» コメントありがとうございます!試行錯誤しながら書いてたのでそう言っていただけると安心します…!嬉しいです!神作と言っていただけたのが過言にならないように頑張りますね!? (2022年7月18日 18時) (レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
せそ(プロフ) - 199594198593さん» コメントありがとうございます!おかえりなさい!!(?)最高嬉しいです〜最高を書き続けられるように頑張りたいですね… (2022年7月18日 18時) (レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
むー(プロフ) - ふへ…ふへへ…(キショ)すごい好きです…!knmtの解釈一致すぎてもう最高です、神作をありがとうございます…!!! (2022年7月13日 22時) (レス) @page48 id: c6860a711c (このIDを非表示/違反報告)
199594198593(プロフ) - 番外編まで最高だァ… (2022年7月12日 9時) (レス) @page48 id: d656d21813 (このIDを非表示/違反報告)
せそ(プロフ) - ミウラさん» コメントありがとうございます!大好き嬉しいです〜!番外編まで読んでくださってありがとうございます!あと数話お付き合いください💖 (2022年7月4日 0時) (レス) id: f1e07720ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せそ | 作成日時:2022年4月12日 18時