30 ページ35
少しばかり明るくなって来た森の中で、
私は目を覚ました。
『あーーーーー。
また貧血か。』
この森に入って3日目
こうも毎日のように倒れれば、流石にどうにかせねばと思い始めた。
毎回血を大量に垂れ流しにしちゃう戦法、あんまり良くないのは分かってはいるんだけど、
かと言って腕を切らずに鬼は倒せないし…どうしたものか。
まだ体を起こせるほど力が戻っていないのか、頭ばかりが思考をぐるぐる回していた。
そうも色んなことを考えてる間に、少しずつだが身動ぎほどは体を動かせるようになって来た。気がする。
今は左腕を上向に横を向いて寝ているが、寝返りでも打ってみようか…と少し背中に力を入れてみる。
すると感じる背中の違和感。
…そう言えば先程から妙に背中が暖かい気がする。
「…起きた?」
寝起きなのだろうか少し掠れたイケボが背中から聞こえる。
恐る恐る後ろを振り返ると、
目の下にうすらと隈を作らながらも眠そうに目を擦る顔面強めの金髪美少年。
『あぁ、生きてて良かった…』
「…っ!」
完全なる美をこんな至近距離で、しかもCV.下○紘って、本当…私生きててよかった…オタクしててよかった…
「それはこっちの台詞だこのばか!!!」
夢心地からの急降下。
なんか知らんけどめっちゃ怒ってらっしゃるなんで。
寝起きめっちゃ機嫌悪くなるの?そう言うキャラなの???
「…また、倒れるし、
血、いっぱい出てるし…止まんないし」
だんだん小さくなる善逸の声。
「今度こそ目を覚まさないかもって思ったら、怖かったんだからな!!」
そう語気を強めて言った善逸くんは、ぎゅっと羽織を握り真っ直ぐにこちらを見ていた。
その瞳に私は既視感を覚えたが、どこで見たかはあいにく思い出すことが出来なかった。
『…ごめん、心配かけて』
私は、またまた丁寧に手拭いで手当てされている己の左腕に視線を移した。
昨日の物とはまた別で、その手拭いは綺麗な刺繍が少し施されていた。
『…また、助けてもらった
ありがとう、善逸くん。』
「…当たり前、だろ
もう俺たち……友達だし」
少し俯きながらもはっきりとそう言ってくれた善逸くんの耳は、赤く染まっていた。
この歳になって、友達と呼んでもらえる事がこんなにもむず痒くて嬉しい事だったなんて思いもしなかった。
『そうだな…友達だ
改めて、宜しくな!善逸くん!!』
この時の私はいつもとは違う、別の意味で顔がだらしなくにやけていたと思う。
84人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かなみ(プロフ) - #egg/たまごさん» 書いてて自分でも恥ずかしくなるくらいとんでもねぇ長男です(笑)こちらこそ、お立ち寄りいただきコメントまでいただいてありがとうございました!!これからも頑張ります!!! (2020年3月9日 1時) (レス) id: b605df076c (このIDを非表示/違反報告)
#egg/たまご(プロフ) - とんでもねぇ炭次郎ですね!(最上級の褒め)素敵な小説ありがとうございます!更新頑張ってください! (2020年3月3日 9時) (レス) id: fef018cdc2 (このIDを非表示/違反報告)
かなみ(プロフ) - くりりんさん» めちゃくちゃ返信遅くなってすみません!コメントありがとうございました!!これからも頑張って更新かけていきますので、どうぞよろしくお願いします!!! (2020年3月1日 23時) (レス) id: b605df076c (このIDを非表示/違反報告)
くりりん - コメント失礼します。これから主人公はどうなっていくのか楽しみです!ワクワク(*'▽'*)炭治郎が距離感近いのもドキドキします(//∇//)これからの展開も楽しみにしてます!!更新頑張って下さい!!! (2020年1月8日 8時) (レス) id: c6b331e09a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かなみ | 作成日時:2019年11月22日 0時