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「…嘘だろ…」
突然だが
俺、我妻善逸は普通の人よりも“耳”が良い。
“普通”の人には聴こえない音を
俺は“普通”に聴くことが出来る。
人と対面している時、生きてる人間の鼓動や呼吸は、それこそ意識なんかせずとも常に自然と耳に入ってくる。
だから尚更、
今のこの状況が俺には上手く飲み込めない。
…
地面に広がる血の海に一頻り叫んだあと
生きてるのかすら分からない瀕死の少年が
目の前に倒れていた
狐のお面が少し上にずれ口元が見えていた為、手をやると微かに息をしているのが分かった。
「息、してる…良かった…生きてるっ…!」
普段人助けなんてする事の無い俺が、
気がつけば考えるより先に体の方が動いていた。
既に出来ている血溜まりにビビりつつ
取り敢えず手当てしないと、と持っていた手拭いに水を含ませ傷を吐いた後、消毒作用のある薬草を傷口に当て左腕に手拭いを巻き止血を試みる。
でも手が震えてうまく結べない。
やっとの思いで結び終え少しして、少年の規則正しい寝息が聞こえてきたので安心した。
他にも傷は無いかと申し訳ないが少し着物を緩めさせて貰った。
「…なんでこいつ、さらしなんか……」
そこまで来てある事に気がついた。
「…こいつ
…嘘だろ…鼓動の音がしねぇ」
しかし少年はすやすやと寝息を立て、気持ちよさそうに眠っている
確かに生きている…
どう言う事だ…
正直、情報が多すぎて頭が混乱していた。
『…たん、じろう…』
手当てを初めて4時間ほど経っただろうか
高く登っていた太陽は既に低い所にあった
ふと視線を自分の膝元に向けると
少年は薄く目を開けこちらをぼやっと見ていた。
息苦しそうだったので狐のお面は外させてもらったから、少年の端正な顔立ちがよく見えた。
目が覚めても少年の鼓動は相変わらず無音だ。
『たんぽぽ…』
「(え、なにそれ悪口?)」
その顔立ちと相反し、まだ声変わりのしていない可愛らしい声で初対面ながら普通に悪口を言われたのかと思った。
だが次の言葉を聞いた途端、今度はサッと血の気がひいた
『…ぜんいつ…』
「?!(な、なんでっ?え??
もしかして何処かで会ったことある?いや、
ないないないない!!あるわけ無い!!
こんな綺麗な顔、忘れるはずない。
…て俺何考えてんの!?そうじゃ無い!)」
冷静さを取り戻したはずの脳はまたパニック状態。
心臓が嫌にドキドキして口からまろび出そうだ。
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かなみ(プロフ) - #egg/たまごさん» 書いてて自分でも恥ずかしくなるくらいとんでもねぇ長男です(笑)こちらこそ、お立ち寄りいただきコメントまでいただいてありがとうございました!!これからも頑張ります!!! (2020年3月9日 1時) (レス) id: b605df076c (このIDを非表示/違反報告)
#egg/たまご(プロフ) - とんでもねぇ炭次郎ですね!(最上級の褒め)素敵な小説ありがとうございます!更新頑張ってください! (2020年3月3日 9時) (レス) id: fef018cdc2 (このIDを非表示/違反報告)
かなみ(プロフ) - くりりんさん» めちゃくちゃ返信遅くなってすみません!コメントありがとうございました!!これからも頑張って更新かけていきますので、どうぞよろしくお願いします!!! (2020年3月1日 23時) (レス) id: b605df076c (このIDを非表示/違反報告)
くりりん - コメント失礼します。これから主人公はどうなっていくのか楽しみです!ワクワク(*'▽'*)炭治郎が距離感近いのもドキドキします(//∇//)これからの展開も楽しみにしてます!!更新頑張って下さい!!! (2020年1月8日 8時) (レス) id: c6b331e09a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かなみ | 作成日時:2019年11月22日 0時