5y 11 me ページ30
ドアの隙間からオレンジ色の光が漏れている
暖かそうなその光とは対照的に、
私が今立っている廊下は暗く寒く、
そしてカタリとも物音はしなかった。
其れもその筈
今は夜の11時を少し回ったところ
みんな自らのベッドですやすやと寝息をたてている。
茶色い大きな戸にそっと手を近づけた。
今の自分の手はまるでおもちゃのように小さく
目の前にある大きな扉の前ではとても軟弱そうに見える。
私はギュッとその小さな手を握りしめると
勢いよくその拳を戸に打ち付けた。
「どうぞ」
この木の板の向こう側から小さく聞こえた『ママ』の声を私の耳が拾う。
小さく息を吸い込み、ドアノブを力いっぱい回した。
暖かな光が私を包んだ。
「…あなたが夜更かしなんて、珍しいわね…」
目の前にいる私の『ママ』は書き物をしていたその手を止め、私に柔らかく微笑んでくれた。
『ねぇ、ママ
話しがあるの』
私が切り出した途端、ママの目が鋭く光った。
「…どうしたの、A」
何か探られるような目
覚悟を決めてここにやってきたが、流石に声と手が震えた。
ギュッと両サイドで手を強く握り直した。
浅くなっていた呼吸を整え、深く息を吸う。
『…ママ、
私たちは………』
……
古びた扉の閉まる音が、静かな廊下に響いた。
まるでさっきまで息をしていなかったかのように、
私の肺は空気を求めた。
…取引は成功だ。
こちらの条件を全て飲んでくれた。
「…良いわ、
全部条件を飲んであげる
でもその代わり…」
今はもうママは居ないはずなのに
頭の中でさっきのママの声が離れない
……
「ママになりなさい」
『…ママ候補って事？』
「…そうよ、
何故あなたが知っているの？
……メイね？」『違う！！』
『…メイにはそんな話聞かなかった』
冷ややかな目でこちらを見下ろす。
「ふーん…まぁいいわ。
実はあの子もママ候補だったんだけど、
“特別に”予定よりも早くここを出ていくことになったのよ。
…せっかく素晴らしい人材だったのに、残念ね。」
せっかく貴方達、本当の姉妹の様だったのにね
と最後に付け足す様に言ったママの言葉は
深く私に突き刺さった。
『だから、補充ってこと？』
「えぇ。そうね。
それが守れるなら私は貴方の条件を飲むわ」
試す様に口元に笑みを浮かべるママ
『…分かった』
私はそっと手を差し出したのだ
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れん - とても面白いです！更新頑張って下さい (2020年8月17日 2時) (
レス) id: badd7d2e72 (このIDを非表示/違反報告)
かなみ(プロフ) - あんさん» はじめまして。お立ち寄りいただきありがとうございます。左様でございます！！モールスについてコメ頂いたの初めてでとても嬉しいです！！（涙）これからもよろしくお願いします！！ (2020年3月28日 22時) (レス) id: b605df076c (このIDを非表示/違反報告)
あん(プロフ) - はじめまして。素敵な作品で感動しております。【4y。2】｢わかれのそばに｣ですか？（すみません不都合でしたら削除しますのでゆってください） (2020年3月11日 0時) (レス) id: 6cd36f95aa (このIDを非表示/違反報告)
かなみ(プロフ) - ネギトロ81194さん» ありがとうございます！嬉しさで吐血しそうです…頑張ります…！！ (2019年11月3日 22時) (レス) id: b605df076c (このIDを非表示/違反報告)
ネギトロ81194 - 続き待ってます！頑張って下さい！！！ (2019年11月1日 18時) (レス) id: 8e841cc71d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かなみ | 作成日時：2019年7月11日 23時
