検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:42,165 hit

第一話 ページ3

無惨に助けて貰った季節も冬だった

3月だというのに雪が止まなかったのを覚えている


『あれから…2年』

ぽつりと心の声が無意識に出た

鬼になった身体であろうが息はする。白い吐息が空に消えた


「A。こんな所で何をしている」

音もなく後ろに立つ無惨。表情ひとつ変えないが、その顔はどこか柔らかく見える

そう言うと、無惨の周りにいる鬼にはよく驚かれる。


『雪が綺麗だなって』


「…嫌いではないのか」


『だって、あの夜があったから無惨と一緒にいれるから。嫌いじゃないよ

寧ろ好きかも』

そう言って顔を綻ばせて微笑むAに、無惨も少しだが口角を上げて僕の頭にぽん、と手を乗せると消えた。
……………………………………………………

そう、忘れもしないあの夜

僕は外とほぼ同じ気温の狭苦しい一室にいつも通り閉じ込められていた


父上に殴られた頬が、身体が、熱く痛む

母上に思い切り引っ張られた髪のせいで頭もガンガンと痛んだ


今思えば高熱も出ていた。息をするのも嫌になるくらいのダルさと鈍痛に襲われていた


神なんていないと心から思った

みんな死んでしまえ、と毎日呪っていた


貧乏なのにやっとこ稼いだはした金で父はよく酒を買っていた

母は美しく、数多くの男に毎日抱かれていた

しかし貰える金はひと握りだった


募る不満やストレス、苛立ちが全て僕に発散された


罵られ、殴られ蹴られ縛られ放り出され


凍えるような寒さの中雪が降っていても、

むせるような真夏の夜中でもお構い無しだった


心底僕は自分の無能さに打ちひしがれるばかりで

長い長い時間を体感していた

第二話→←設定



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (83 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
316人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 男主 , 無惨
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

深月あかざ(プロフ) - 面白いです!!更新頑張って下さい!! (2019年12月31日 0時) (レス) id: 1aaf81dffb (このIDを非表示/違反報告)
たおべ(プロフ) - 福助さん» コメントありがとうございます!!はい!!頑張ります!( ´ ` *) (2019年11月5日 19時) (レス) id: efffbc55ca (このIDを非表示/違反報告)
たおべ(プロフ) - しがないペンギンさん» ありがとうございますう!!!見てくれて嬉しいです泣泣 (2019年11月5日 19時) (レス) id: efffbc55ca (このIDを非表示/違反報告)
福助(プロフ) - すき・・・しゅき・・・無理尊い・・・がんばってください(語彙力低下) (2019年11月5日 16時) (レス) id: 281beb9b84 (このIDを非表示/違反報告)
しがないペンギン - やっべぇ...好みドストライクの小説キタコレ え?あなた様が神か(コメント失礼します!とても面白いです!頑張ってください!)←逆々 (2019年11月5日 16時) (レス) id: 2ab28f40b9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:たろべ | 作成日時:2019年11月5日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。