ころころわんこ《N.Y》 (ページ22)

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廊下を走り、教室についた。

夏といえども、ちょっと日が落ち始めて

すごく綺麗な夕焼けが窓の外に広がっている。

｢A〜？｣

くるりと教室を見渡すと、

Aの姿が見当たらない。

帰ったのかな、と思いながら

窓際までふらふらと寄ってみると、そこには

窓際の、夕陽の差さない席に

突っ伏して寝ているAがいた。

……あー、やっぱり無理させちゃったなぁ。

すぅ、すぅと規則正しく寝息を立てる彼女は

片方の耳に髪をかけていたため、

寝顔が腕からちらりとのぞいて見える。

それはもう綺麗で、天使のようで。

その寝顔をずっと見ていたいけど、

待っていてもらったのは俺の方だし、

ずっとこのままいるわけにもいかないので

彼女の肩をトントンと叩いて起こす。

｢お〜い、A〜？｣

俺が名前を呼ぶと、彼女はんぅと

声を上げて身を捩る。

あぁ、本当に可愛い。可愛すぎる。

何回か起こしてもなかなか彼女は起きないので、

どうするべきかと考えていると、

彼女が再び身を捩った。

可愛いなぁ、なんて思って彼女の

ふわふわとした髪を撫でていると、

彼女が、驚くような寝言を言った。

.

『ん、有志くん……す、き………』

｢…え？｣

突然の彼女の寝言に、俺は動揺するしかなかった。