季節カレシ

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鉄朗がなんで 怒ってるのか

よくわからない。






「･･なんで夜久が出てくんのか
って聞いてんだよ」



「･･･だ、だって･･･鉄朗、

楽しくなさそうだったから･･･」






やっと 口を 開くと 鉄朗は

不思議そうな 驚いた表情を見せた。






「･･私とプールなんか来ても
楽しくなさそうだった、から･･･

衛輔がいたら 鉄朗もちょっとは

楽しめたかな、って思って･･･」






自分で言ってて悲しくなった。


私は 鉄朗に好かれてないんだ、

って わかってしまって



思わず涙が 溢れた。









「･･･ばーか」




優しい声と共に おでこに走った

小さな痛みに目を開く。





「･･･見てた」

「･･･え?」






ボソリと 小さな声で何かを呟くと

頭を掻きながら続けた






「だーかーら。さっきのプールの近くで

他の奴らがお前の水着姿見てニヤニヤしてたから! イラッときたんだよ!」






･･･それが嫌で わざとプールに私を

突き落として トイレに 連れてきたの?






「･･･それ、って」

「･･･彼氏が彼女に嫉妬しちゃ悪いかよ」





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それを聞くなり 私は鉄朗に

一発 腹パンした。





「いってぇ!何すんだよ!いいとこなのに!」


「私だってそーゆーこと言ってんじゃないの!!」


「は?! 意味わかんねえ!」







例えば。


どんなに 相手のことを好きで好きで

仕方なくても その気持ちを相手に

伝わってないなら何の意味もないと思う。





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「私のことちゃんと好きなら 言葉と身体使って ちゃんと 証明してよ!!」



「私がどんだけ 不安か あんたは
知らないだろーね!!」








すべて言い終わってすっきり。

唖然とした様子から ため息をつくと、

鉄朗は 私を抱き締めた。







「･･悪かったよ。お前に構ってやれなくて」

「私のこと、好き?」

「好き」

「私は大好き」

「俺は愛してる」




暑い8月。 鉄朗のせいでその日は

いつもより 何百倍も暑かった。




End.

8月彼氏【黒尾鉄朗】

黒桜 蝶華.





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