季節カレシ

3 ページ11

・




「ぶはっ…………


い、いーよ別に………くくっ………


じ、自分の足にこけて顔面から着地…!!!!!!」


「う、うるさいな!!!!!」




にろには後日改めてガトーショコラを渡し、


私とにろの初めてのバレンタインは幕を閉じた。






・








・




「………ほんと、私って………。」




一ヶ月前の苦すぎる記憶を思い出し、


自分の机にある鞄にぐりぐりと額を埋める。





無事に最後の授業が終わり、


帰り支度の後転ばないように細心の注意を払ってにろと帰路についた。





「今日は転ばなかったな」


「学習したんです」


「もっとほかのこと頭に入れろよ」


「失礼な!!!!!」







にろの右手と私の左手が熱を共有して


肩がたまにぶつかるくらい距離が近くて


おもわず見上げたにろの顔に、不覚にも少し胸がきゅんとした。






「なーに見てんだよ。

見惚れてんのか？？」


「ち、違うよ!!!!!!

自惚れんなバーカ!!!!」


「なんだと!!!?」





思わず出た相変わらずかわいくない憎まれ口。



なんでもっとかわいくできないかな、私。







「ねぇ、どこに歩いてるの？」



「秘密」




こっちを見てにひひ、なんて笑うから早くなる心臓を押さえつけて


もうそれ以上私は何も聞けなかった。







「―――――着いたぞ」






見慣れない街並みに大きく存在感を放つ建物。





「……教会？」

4→←2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す