それぞれのかたち［短編集］

大切な3ヶ月 -EH- ページ22

ヒョクと距離を置いて早3ケ月。





距離を置いたカップルの70%は、
結局別れることになるって…知ってる？

どこでそんな統計とったんだって感じだけれど。
…少し、不安になる。





ここ最近の私たちは、刺激もときめきもない、所謂マンネリ。
なあなあになった関係をどうにかしようと話し合って、
少し離れてみようか、となった。
そして今に至る訳だけれども…。




距離を置いてみれば、
再びお互いを想う気持ちに気づけるかもね、
なんて言ってたのが3ケ月前で。



3ケ月目にして、私は気づきました。

そろそろ、辛い……。









「もしもし」
「久しぶりだな」
「ヒョク今何してるの？」
「今何時か知ってる？寝てたに決まってるでしょ(笑)」



時計を見るともうすぐ夜中2時になるところ。




「…ごめん」
「で、どうしたの？なんかあった？」
「うん。もうそろそろ…会いたいなって…」
「えっ？(笑)」




今ヒョクがどんな顔をしているか、
容易く想像ができた。

いつもみたいに、
私の大好きなあの顔でにやけてるんでしょう？




「…1回しか言わない」
「ほんとわがまま」
「…ごめん」
「バカ」
「…ごめん」
「でも俺の方がバカかも(笑)」




電話越しに聞こえる、彼の笑い声が、
耳元で……なんだか擽ったい。




「…なんで？」
「もうすぐ会えるよ」
「えっ…」
「俺も…もう限界」






そこでプツッと切れた電話。




少しするとチャイムが鳴り、
走って玄関へ行き鍵を開ける。





「ヒョク…っ」


ぐいぐいと玄関に入ってきた彼に、
そのままきつく抱きしめられた。


「会いたすぎて…どうにかなるかと思った」
「私も」
「バカ」
「ヒョクもね(笑)」





ヒョクなしじゃ駄目だということに気付けたのは、長くて苦しかったこの大切な3ケ月間のおかげ。





fin.

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