無一郎の大切な幼馴染み

〃 ページ18

無一郎 目線





Aが倒れそうになった時に僕の体が考えるよりも先に動き、抱きしめる形で彼女の体を支えた





貴女『ふぅ、ありがとう。むいくん』





彼女がゆっくり顔を上げると、息がかかるほど近くに彼女の顔があった

その頬は紅潮しており、瞳が潤んでいる


そして、僕を見上げるように上目遣いで此方を見る彼女はとても可愛かった

抵抗もなく、すっぽりと腕の中に収まった彼女を見ていると愛おしさが込み上げてくる



その間も束の間、彼女は僕から離れると走り逃げてしまった





無一郎「A！！」





僕は彼女の名前を呼ぶが、Aは止まらない


彼女は振り返らず、そのまま僕の視界からいなくなってしまった





無一郎「早く追いかけないと……」





彼女が心配だ

また一人で、無茶をするから…


僕もすぐ彼女の後を追う



僕は彼女を追いかける時、さっきのことが脳裏に過る


彼女が顔を赤くしたこと

彼女を受け止めた時に触れた柔らかな感触

彼女の体温、甘い匂い…………そして吐息のような優しい声


僕は君の全てに惹かれていく



何をやっても君は何時も僕のことを“幼馴染み”としか見ない


“男”だと意識してはくれない



彼女が赤くした時、君は僕のことを“男”として見てくれたのかな





ねぇ、A


でも“好き”と言っても、君は“私も”と僕の本当の気持ちに気付かない



僕の気持ちは何時届くのかな


早くこの気持ちに気付いてよ





僕は優しい君が、温かい君が……







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