7回 ページ8
〜貴方side 〜
あれから…あれからずっとあの痛みが消えない。
菊池先輩が私に微笑んでくれる。
手を振ってくれる。
声を掛けてくれる。
そんな些細なことだけで、苦しかった。
なん、で。
「A?大丈夫?」
貴方「!う、うん。どうしたの?」
「またほうきとか片付けお願いしていい?
ゴミ捨て行ってくる」
貴方「もちろんだよ!
部活に遅れるといけないから早く行って、ね?」
「うん!ありがとうA!またね!」
放課後、いつものように掃除をしていた私。
もう1人の子は、
ゴミを持ちながらまた走って行った。
……私も早く帰ろ。
そう思い、
ほうきとちりとりを持つと歩き出した。
菊池「あ」
歩こうとした先、そこには菊池先輩がいた。
貴方「…っ」
私はほうきとちりとりをその場に置くと、
反対方向に全力で走った。
菊池「……え!?」
……嫌だ、嫌だ、認めたく、ない。
あと何回?
……あと何回目が合えば。
………………きっと____
走り続け、途中で健人がいた気がした。
いや、いなかったかもしれない。
今の私はそんなこと、どうでもよかった。
中島「…」
・
貴方「はぁ、はぁ、はぁ」
走り続け、足を止めた私。
ここまでくれば、追って…
…追ってなんか、来ないよね…。
菊池「藤咲さん」
貴方「はっ」
呼吸を整えている途中、
あの人の……先輩の声がした。
菊池「…どうした?」
…………ほら、その優しい笑顔……。
貴方「菊池、先輩…………」
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作者名:ユリ | 作成日時:2021年3月16日 18時