お兄ちゃん、おかしいよ？最終章【S.S】 (ページ27)

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126話ページ27

六年後

私は結婚した。相手は言わずもがな。佐藤勝利その人である。

付き合うことになったあの日からずっと別れずに交際を続けていた。

交際を始めて四年たった日、プロポーズされたのだ。嬉しくて嬉しくて声も出なくて涙をボロボロと流した。

泣いてたら分からないよ、と優しげに言われてコクコクとひたすら頷いた。すると嬉しそうに抱き締められたのだ。

一等幸せだった。

私は佐藤 Aになった。

…そして今は私が前兄と住んでいた家に住んでいる。

あり得ないと思うかも知れないが、この家は私の唯一の家族との思い出がある場所なのだ。

ここが良いと彼、勝利に願いを言うと優しく受け入れてくれた。

…過去の話になるが、兄が逮捕され、私も勝利も退院した後二人で家に行ったのだ。

そしていつも閉ざされていた兄の部屋が開いていた。部屋の中を見て驚いた。

いつ撮られたのかもわからない写真が壁一面に貼られていたのだ。

私はこの時初めてこの事実を知った。それを見て、もう痛みは引いた筈の首や足首に鈍痛が走った。

この光景を見た彼も酷く驚き、私の視界を遮る様に手で私の目元を覆った。

だが、その手を大丈夫、と一言告げて優しく押し退けた。

これはちゃんと見ておかなければならない気がする。

いつから兄はこのような感情を抱く様になったのか。

いつから私は兄を苦しめていたのか。

分かるような気がするのだ。

口を固く引き結んで、しっかりと足を踏ん張りびっしりと貼られた写真の元へ歩み寄る。