お兄ちゃん、おかしいよ？最終章【S.S】 (ページ3)

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102話ページ3

佐藤side

松島「家に行ってみたら？」

家に行く…それは全く考えていなかった。

でも、それ以前に。

佐藤「…でもさ、住所は？俺、家知らないんだけど…」

松島「俺、知ってるよ。ずっと前…、Aが学校に来なくなった頃に家に行ったから。
…でも、会いたくないって、来ないでくれって言ってるってAのお兄さんに伝えられて。

…その後も諦めきれずに何回か行ったけど、まぁ答えは同じ」

佐藤「…そうなんだ。じゃあ、取り敢えず住所教えてくれるかな？行ってみる。…会ってみたいんだ、A…さんに。」

会いたい。会ってみたい。

確かめたいんだ。

思い出したいんだ。

「…アハハッ」

シーンとした空気の中、突如誰かの笑いが零れた。

それに呼応する様に次々とクスクス笑う声が広がる。

意味が分からず首を傾げて皆を見る。

「…何か、変だな！お前がA“さん”なんて！ハハッ」

「ホントだよ！佐藤ってAと同じクラスになって結構早くからAのこと呼び捨てにしてたしねぇ」

「俺なんか一年の時恋の相談なんかされちゃって、
『どうすればあの子と仲良くなれると思う！？』とか
『来年同じクラスなれるかな！？』とかさ、お前は恋する乙女かッ！って思った」

「ブハッ！！何それ！？勝利ってそんなこと言ってたのか！恥ずかしいなお前っ…ブククッ」

「俺何でか知らねーけど忠告されたことあるぞ？『お前…絶対Aのこと好きになるなよ…？お前は俺よりモテるんだから我慢しろ！』とかさ、意味わからんわ」

…そう聞けば聞くほど羞恥心を逆撫でされるような恥ずかしい思い出話をつらつらと話し続けるクラスメイト。

俺はそんなことをしていたのか。

何て恥ずかしい奴だ。

…なんて、何だか他人事のような感想を持つ。

…でも、今話していることは全て本当のことなんだ。

ちゃんと俺はその子のことを好きだったんだ。

尚更、思い出さなければ。

佐藤「…俺って恥ずかしい奴だな…。でも、ありがとう！何か元気出てきた！！頑張るよ」

俺のその言葉を聞いて、ずっと隣に居た風磨くんが頭をガシガシとぐしゃぐしゃにしてくる。

それを見て他の連中も混ざってきて何が何だか分からない。

…本当にいい仲間に巡り会えた、と改めて感じた。