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117話 ページ18
しばらくの間、膝に顔を埋めていた。
抜け殻の様に魂が抜け切ってしまったような、そんな感覚。
ぼーっと脚の間から見える床を見ているだけ。
何も考えず、ただ息をしているだけだ。
…何時間たっただろうか、気付けばもう昼の時間へ差し掛かっていた。
ハッと顔を上げ、少し考えて思い出す。
貴方「勝利君は…！」
勢いで、ドアを開けようとドアノブに手を掛けた時言葉が蘇る。
(出てきたら駄目だよ？俺がいいって言うまで)
貴方「ッ…」
躊躇った。
守らなければ、彼が。
兄が、彼を。
彼は、兄に。
彼を、兄が。
兄に、彼が。
ぐるぐるとそんな不安が頭の中を渦巻く。
佐藤『ッゔあああああああああ！！！』
貴方「ッ！？」
今のは…勝利君の叫び声？
つい先ほどまで躊躇っていた手はしっかりとドアノブを掴み、回していた。
…必死だった。
あんなに苦しそうな絶叫は只事では無い。
殺さないと言ったのに…！
声の出処は直ぐに分かった。
その部屋へ飛び込む前に、真っ先に電話へと向かう。
ガタガタと震える指でボタンを押して両手で支えながら耳へ当てる。
あちら側が電話に出る僅かな時間までもどかしく感じた。
早く、早く早く…！！
『＿＿はい。』
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作者名：ユリ | 作成日時：2021年6月5日 18時
