お兄ちゃん、おかしいよ？最終章【S.S】 (ページ15)

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114話ページ15

佐藤side

佐藤「……ッ！？」

健人「お前が轢かれたのは俺が突き飛ばしたからなんだよ？」

…は？

…その見覚えのある顔は。朧げな記憶を引っ張り出す。

…確か、Aのお兄さん？

ならどういうことだ。今この状態は彼が作り出したと言うのか。

それに突き飛ばした、というのは…

佐藤「……どういう、こと…」

朦朧とする意識の中でそう聞けば、彼は髪を掴んでいた手をパッと離す。

いきなり離されたことでガクンと重力のままに身体を床に打ち付ける。

佐藤「ッ…」

健人「…どうもこうも、そのままなんだけど。
俺がお前を道路に押し出した」

…見覚えのある顔。

一瞬、事故の瞬間がフラッシュバックした。

車に激突する前、確かに押された感覚があった。

そして、誰かの笑った顔。

…いや、“誰か”じゃない。

今自分の目の前にいるこの人だ。

頭が熱に浮かされた様にクラクラして、呼吸も難しくなってくる。喘ぐ様に呼吸をする姿は陸に打ち上げられた魚の様だ。

視界も狭くなってくる。

右肩から命がだんだんと無くなっていく。

健人「…死にそう？

…まだ死なせない。お前はまだ苦しめる必要がある」

そう言うと何か布の様な物で、まだナイフが刺さったままの箇所の程近いところをきつく締められた。

佐藤「ッ…、何でそんな、こと…！」

健人「邪魔だからだよ。俺とAの間に余計なモノは必要無い。Aは俺だけのモノなんだ。」

自分のそんな言葉を聞いて、作業を続けながらさも当然の様に答えた。

おかしい。

佐藤「そんなの…おかしい……！！
Aは、そんなことっ…望んでない！」