願いとは_リクエスト:紫猫日和様 ページ3
前作の『叶う余地はあるのか』の続きとなっております
例えばの話。
諦めなければ良かったって何回後悔するのだろう。
彼から発せられる恋の言葉はあまりにも私に深く刺さり、そのたびに心臓から血が流れている気分を味わっていた。
それでも、それでも諦めたふりをしてまで彼の横にいたかった、痛みをとも無く安心感を失いたくなかった。
「アホやろ、お前」
唐突に告げられた言葉。
それは私達の先輩のコネシマさんからのものだった。
「えっ、いきなり呼ばれてからの罵られたのは何故?」
「何故も何もないわ。最近のお前は痛々しくてみてられへん」
夏休みがもうすぐ終わるというこの時期、私は昨夜急にコネシマ先輩から明日来れるかとラインがきてここのカフェに来た。
そしたら急に罵られた、解せぬ。
「お前のその格好も行動も元々持っていたもんなのは知っとる。けどな、ソレに戻す理由がネガティブじゃあ意味ないやろ」
「……な、んでしって」
「大先生がポロッとな。……ホンマお前らは不器用すぎるわ。わざとやってんのとか漫画か?って突っ込みたいくらい」
「……」
呆れたように冷たいココアを飲むコネシマ先輩の姿はなんとなくアンバランスだ。
この人甘いの苦手とかいうくせにココア頼むのは一体どういう心理から来ているのだろう。
「いいか、後悔しない道を選べ。これはどういう意味がわかるか?」
「正しい選択を選ぶ、とか?」
「ちゃう。この世にはな、正解なんてないねん」
いつもとは違って真剣な顔をして私の深くまで覗き込むコネシマ先輩。
澄んだように綺麗なその空色の瞳に引き込まれそうになるが、途中で正気に戻って慌ててもう一度コネシマ先輩に顔を向ける。
「正しくはな、選んだ道を正しくするんや」
「選んだ道を……」
「お前が結局諦めるも粘るもどっちでもええ。けどな、あとでああすれば良かったなんてもう遅いねん。他の事では役に立つかもしれんが、アイツにはもう生かせんやろ、その失敗」
「あ……」
やっと先輩がなんのことを言っていたのか理解した。
短く切った髪がさらりと揺れる。
「捨てられないネックレスに何の価値があるねん」
ちぎった癖にゴミ箱に行かず放置されている紫のネックレスは、背景になりながらも気づかぬ内なる私の心を少しづつ蝕んでいた。
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夜有(プロフ) - 百瀬のえるさん» ありがとう御座います!いつかまた会えるときが来ましたら、そのときはよろしくお願いします。 (2021年1月1日 23時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
百瀬のえる(プロフ) - 更新ありがとうございました!大好きです!!お疲れ様でした! (2021年1月1日 23時) (レス) id: 90299a5c54 (このIDを非表示/違反報告)
黒音 - はい!それではお願いします! (2019年10月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 11da0246b8 (このIDを非表示/違反報告)
夜有(プロフ) - 黒音さん» あ、いえ!その可能性も考えてたのにそこも確認してなかった私もすみませんでした。リクエスト承りました! (2019年10月15日 16時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
黒音 - 返信ありがとうございます!個人的にはハッピーエンドがいいですが作者さんの書きやすい方で良いですよ(それと夢主が死んだ後の事なのですが前世の時の事です。分かりづらくてすみませんでした) (2019年10月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 11da0246b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜有 | 作成日時:2019年4月7日 22時