心配事 ページ8
A(うーん…どう対処したものかな……)
器楽丸と雛之に挟まれながら、私は腕を組む。心配事というのは器楽丸のことで、鍛刀部屋でも分かったように、彼は＿＿。
⁇?「主、新入りってどいつだ？新しい槍が来たって聞いたんだが」
丁度その時。どこか抜けたような、能天気な声と共に、大きな青年がこちらへ近づいてきた。
A「……‼ だめ、こっちこないで御手杵！」
しかし私が叫んだ時にはもう遅く、さっきまで私の隣で笑っていた器楽丸は、本体を鞘から抜いて御手杵に突き出していた。
器楽丸「惜しいなぁ…。君があと一歩踏み出してくれてれば、その喉を削ぎ落としてやったのに」
大広間がシンと静まりかえり、一触即発の空気が流れる。
御手杵「おい主…これ一体どういう状況なんだ…？」
喉元に槍を突きつけられながら、御手杵が困惑した様子で私を見る。私は額に手を当てて長いため息を吐いた。
雛之「おい器楽丸、やめとけ。来て早々に問題をおこしたいのか」
殺気を放つ器楽丸をなだめようと、雛之が立ち上がって器楽丸に近づく。
器楽丸「黙りなよ。僕はこいつを
器楽丸はそう叫ぶと、槍を握った手に力を込めて素早く突き出した。
御手杵「なっ…！」
御手杵はそれを寸前でかわす。がしかし、避けた際に机に足を引っ掛けてしまい、机の上に倒れこんだ。
器楽丸「はあぁぁあ！」
その御手杵めがけて、器楽丸が槍を振り下ろす。御手杵が逃げようと態勢を立て直すが間に合わない。
御手杵「……っ‼」
ガキィンッ＿！
しかしその刃は夜守によって防がれた。その間に御手杵は起き上がり、器楽丸と距離をとる。
夜守「くっ…うぅ…！器楽丸、さん！やめて…ください…‼」
短刀と槍では力の差が歴然だ。夜守は槍を受け止めながら、必死に言う。
器楽丸「チッ」
しかし器楽丸はそれを無視すると、槍を頭上で回転させ、その勢いのまま太刀打ちで夜守をはねのけた。夜守はごろごろと転がっていき、脇腹を押さえながら苦しそうに咳き込む。
厚「おいおい、なんかやばくねぇか…？」
加州「この状況でやばくないわけないじゃん」
石切丸「やめないか、君たち。これからは仲間同士なんだから、無益な争いは＿＿」
何振りかの男士たちが止めに入るが、器楽丸は槍でそれを制する。歓迎会ということもあり、彼らは本体をもってきてない。
A「大変なことになった……」
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作者名：六道 美影 | 作成日時：2018年9月22日 22時
