大広間にて ページ7
鍛刀部屋を出て、長い廊下を歩いていく。靴を手に抱えた器楽丸が、不安そうに私に尋ねた。
器楽丸「ねぇ主。今からどこに行くの…？」
A「大広間。今から皆の歓迎会するから。そこの歌仙と、光忠っていう伊達の刀がご馳走作ってくれたんだよ」
私がそう言うと、四振りの視線が一斉に歌仙に集まる。
歌仙「まぁ僕は主の手伝いがあったから、下準備くらいしかできなかったのだけれどね」
歌仙は困ったようにそう言うと、「もうすぐだよ」と前を向いた。
大広間の襖の前まで来ると、賑やかな声や料理のいい匂いが漂ってくる。
A「はーい皆、おまたせ！」
私がそう叫びながら勢いよく襖をあげると、中の賑わいはより一層大きくなった。
今剣「あるじさま！あたらしいかたながきたんですね！」
私たちを見るなり、好奇心旺盛な今剣が先陣をきって、短刀たちが駆け寄ってくる。
薬研「おぉ、お前さんらが新入りか。よろしくな」
秋田「お名前はなんて言うんですか？」
愛染「また賑やかになりそうだな！」
短刀たちは新しい仲間が来て嬉しいのか、いつもより楽しそうだ。
A「はいはい、今から順番に紹介していくから。光忠は…まだ台所かな」
歌仙「なら僕が読んでこよう。ついでに服を着替えたいんだが、構わないかい？」
確かに、他の刀たちは内番服なのに歌仙だけ、というのはなんだか歌仙に悪い気がする。私が頼んで手伝ってもらっていたわけだし。私が歌仙にうなずくと、歌仙は台所へ歩いていった。
A「じゃあ四人はここに座ってね」
四振り以外が座る大きな長机に対して、T字に置かれたもう一つの机の前には、座布団が五つ敷かれてある。一つは私のものだ。
雛之「真ん中もらったー！」
雛之が真ん中の座布団に座る。
銃身切「では私は兄上様の隣に」
夜守「ボクは銃身切の隣に座らせていただきますね」
雛之の右隣には、銃身切と夜守が座った。
A「器楽丸は雛之の左ね。私はその隣に座るから」
私がそういうと、器楽丸は小さく笑う。
器楽丸「主、そんなことしたら雛之が可哀想だよ。僕のせいで雛之が余計小さく見えちゃうでしょ？」
雛之「何だと…！」
銃身切「兄上様。兄上様は十分可愛らしいのだから、気にする必要はないさ」
夜守「フォローになってないですよ、銃身切」
雛之と器楽丸は、放っておけば喧嘩になりそうだ。結局、彼らの間に私が入ることで落ち着いた。
A(でも…。あと一つ、心配なことがあるんだよね……)
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作者名：六道 美影 | 作成日時：2018年9月22日 22時
