銃身切鈴丸 ページ5
A「えーと…。うん！次いってみよう！」
重くなった空気を払拭するように、私は明るい声で言う。一番距離の近かった打刀に歩いて行って、ドサッと腰をおろした。
そっと手を当て、力を注ぎ込む。桜吹雪の中から出てきたのは、和と洋が混ざったような服を着た、ハットを被っている背の高い青年。
⁇?「私は銃身切鈴丸という。ふつつか者だが、兄上様共々、宜しく頼むよ」
彼はそう言うと、切れ長の目を細めた。彼が動くたびに、帽子に付いた三つの鈴が音をたてる。なんとも妖艶な雰囲気のある刀だ。
A「兄上様？鈴丸…ってことは、雛之の兄弟なの？」
私が雛之の方を見ると、雛之は驚いたように「俺⁉」と自分を指差した。
A「心当たりがないと…。じゃあ別の刀か。残念だね、銃身切。まあそのうち実装され＿＿」
銃身切「兄上様‼」
雛之を見るなり、銃身切は目を輝かせる。そして私の言葉を遮り、一目散に雛之の方へと駆けていった。
銃身切「久方ぶりだね、兄上様！まさか現世で再び出会えるとは思ってもみなかったよ」
雛之の手をとって、上下に激しく振る。雛之はそれを強引に振りほどくと、手首をさすりながら言った。
雛之「誰だよお前。俺の弟にはいなかった顔だけど…」
銃身切「そんな…！私のことを覚えていないのかい？銃身切だよ、銃身切鈴丸！」
雛之は腕を組んでしばらく唸っていたが、首を横に振った。
銃身切「兄上様……」
銃身切がシュンとしてうつむく。
雛之「その兄上様ってのもやめろよ。本物の兄上様に申し訳ないだろ。本丸にきてみりゃ、どこの馬の骨とも知れない奴が弟の兄貴ヅラしてるなんてさ」
銃身切「…しかし、私の兄上様は貴方だ。これからは私が勝手に兄上様と呼ばせてもらうよ。それなら問題はないだろう？」
雛之「なんでだよ！ありありだっての！」
こうしてみると、(身長的に)銃身切が兄のように見える。
A「あ。そういえば私、雛之の種類教えてもらってなかったよね」
私がそう言うと、銃身切から逃げるチャンスと言わんばかりに食いついてきた。
雛之「俺は脇差だ。短刀じゃないからな！間違えたら許さないからな⁉」
A「ハーイ」
私が最初に短刀かと思っていたことがバレたのかと一瞬ひやっとしたが、そういうわけではないらしい。
器楽丸「へぇ、僕てっきり短刀かと思ってたよ」
A「そこ挑発しない‼雛之も睨まない‼」
私が言ってなんとかおさまったが、この二人は相性が悪そうだ。
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作者名：六道 美影 | 作成日時：2018年9月22日 22時
