釣り合う人【岩本照】 (ページ9)

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岩「山田Aさんって、先生の本名ですか？」

私に人生一大のピンチが来ている。

そんなことそうそうないと思うのに。

ていうかなんで昔の名刺？

あぁもしかして前会社勤めの時の余りが紛れ込んでいたの？

全部処分したと思っていたのに。

しかもよりによって初対面のイケメンに名前呼ばれるとかどうしようもう頭が働かない。

岩「あーー…えっと言って欲しくないなら俺言わないので安心して下さい。」

スっと前に視線を戻し、運転をしてくれる岩本さん。

こんな時になんだと思ったが夜のライトが岩本さんを照らしていて、とても綺麗だと感じた。

「えっとそうして頂けると…大変有難いです。
本当に申し訳ないです。」

岩「でも山田Aさんっていい名前だと思うけどね。
俺は好きだな、Aさん。」

岩本さんは少しニヤリと笑って悪戯に私の名前を連呼する。

心臓が持たない……私の事弄んでるな…

私の精神を正常に保つ為に、岩本さんに言う。

「あの…そんな連呼されるとしんどいです……
あと絶対この名前で呼ばないで下さい…」

岩「じゃあ2人の時、名前で呼ぶね。
Aさん。」

目尻をクシャッとする笑い方で私に笑いかける。

どうしてこんなに私を掻き乱すんだこの人は。